2001/12/27
■ グラム染色, B & M法での試薬調製
【質問】私は微生物生態学を研究しています。当研究室ではハッカーの変法でグラム染色を行ってきましたが, 今度グラム染色のB & M法を試そうと思っているのですが, 分からない点がいくつかありまして, よろしければ教えてほしいのですが・・・。
 まず, 固定に用いるメタノールの濃度。そして固定はスライドに滴下するのか, それともメタノール液につけて固定するのかが分かりません。
また, パイフェル液はフクシン液を薄めるとのことですが, もとのフクシン液の作り方が良く分かりません。

【回答】
 グラム染色B & M法のメタノール固定法とパイフェル液に関する質問にお答えします。
1. メタノールの濃度?
 メタノール含有99.8%です。実際には市販品Methyl Alcohol SG (試薬特級規格適合品) またはこれに準ずるものであれば十分です。

2. 固定法は滴下か?つけるのか?
 どちらでも良いのですが, 塗抹面に十分メタノールが浸透することが大切です。私たちは10枚程度が収まるガラス容器 (染色瓶) にメタノールを満たし, この中に約1分間浸しております。

3. フクシン液の作り方?
 (1)フクシン原液 (エタノール飽和液): 塩基性フクシン11 gを乳鉢に入れ, 95%エタノール100 mlを徐々に加え, つぶしながら溶かし, 濾過する。
 (2)5%石炭酸水溶液: 湯せんにて, 液状としたフェノール (98%含有) 5 mlを精製水で溶解し, 全量100 mlとする。
 (3)石炭酸フクシン液: (1)のフクシン原液10 mlと(2)の5%石炭酸水溶液100 mlを混和したもの。
 (4)パイフェル液: (3)の石炭酸フクシン液を精製水で5〜10%に希釈したもの。

 臨床検査部門に限らず, グラム染色を用いる施設は多方面にあると思います。いろんな分野でグラム染色検査に悩んでおられる方には是非B & M法をお試しいただければ幸いです。

(大手前病院・山中喜代治)

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