■ B型肝炎ウイルス (HBV) はオートクレーブで死滅する??? | |
【質問】
都内で歯科衛生士をしています。私の勤務している歯科診療所では, B型肝炎ウイルス保菌者に使用した器具を, 診療後中性水に10分浸し, その後オートクレーブで121℃, 5分の滅菌をしています。先日中性水がなくなってしまい, 先生と相談をしたところ, 先生は“オートクレーブにて121℃, 5分の滅菌で芽包は死滅する”と言われました。しかし, 私は衛生士学校で“オートクレーブのみの滅菌では芽包は死滅しない”と習いました。調べた結果, オートクレーブで芽包は死滅するという意見が多かったのですが, その滅菌時間や温度にかなりのばらつきがありました。そこで, HBVウイルスはオートクレーブで完全に芽包が死滅するのか, 死滅するとしたらその滅菌時間や温度はどれくらいなのか。また, オートクレーブで完全に死滅しないとしたら, どのような方法をとれば完全に死滅するのかを教えてください。また, 当院ではHBVウイルス保菌者に使用した器具も, 健全な患者さんに使用した器具も, 同じ中性水に浸して消毒しているのですが, 別の容器で浸す必要性はないでしょうか??? 効果は劣りませんか??? 【回答】
オートクレーブでB型肝炎ウイルス (HBV) は死滅するかという質問ですが, 答えは“死滅します”。15分間の煮沸 (100℃) や121℃ (2気圧) 5分間の高圧滅菌をすると感染することはありません。 オートクレーブの滅菌時間と温度ですが, 滅菌の対象となる微生物の種類でいろいろと条件が違ってきます。普通の細菌 (大腸菌など) では121℃, 1分間の処理で99.9999%の細菌が死滅します。しかし芽胞をもつ細菌では, 例えば納豆をつくる枯草菌では99.9999%が死滅するのに5分間, 温泉などの熱湯に生息している特殊な細菌では15分間が必要となります。さらに狂牛病で有名になったプリオンという病原体では132℃ (2気圧) で1時間または135℃, 20分間以上のオートクレーブが必要とされています。 それと質問のなかで, “消毒”と“滅菌”というふたつの言葉が安易に使われていますが, その意味は全然違うものだということを学んでください。消毒して滅菌しても, 消毒しなくて滅菌しても, 正しく滅菌されていれば, 滅菌という効果において違いはありません。 (琉球大学・山根 誠久)
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