03/05/06
■ B型肝炎ウイルス (HBV) ワクチンについて
【質問】
 看護師です。HBワクチンの2回接種と推奨されている3回接種では感染防御率に違いはあるのでしょうか。また2回接種の場合, CDCガイドラインのように陽性になった場合, 再接種は必要ないのでしょうか

【回答】
B型肝炎ウイルス (HBV) ワクチンの2回接種と3回接種では感染防御率に違いがあると考えてください。理由はふたつ考えられます。

(1) ワクチンによる感染防御抗体 (HBs抗体) の獲得がよくない集団, 特に40才以上の中・高齢者では抗体の獲得率が低くなります。

(2) ワクチン接種でHBs抗体を獲得したヒトでも, 抗体の量 (濃度) が低いため, 時間的経過 (年単位) とともに, 早く抗体陰性 (防御に必要な抗体の量, あるいは濃度以下) になってしまいます。

 ワクチン (不活化ワクチン) という抗原刺激は, 一般的に, ワクチンの量が多い程, ワクチンを頻回に接種する程, 高い抗体の量 (濃度) が得られると理解してください。無制限に増やせない理由は副作用と費用です。

 また一度HBs抗体が陽性になったからと言って, 安心できません。ワクチン接種で獲得した抗体は時間の経過と共に減って行きますから, 必要に応じて再接種を行います。この時は身体 (リンパ球) が前に接種されたHBs抗原を記憶していますから, 少ない量で, 1回の接種でも充分に反応してきます。

(琉球大学・山根 誠久)

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