04/06/22
■ C型肝炎ウイルスについて
【回答】
 横須賀市に住む主婦です。二世帯で同居しておりますが, 最近, 母がC型肝炎であることがわかりました。そこで質問なのですが, 母が使っていたホルモン剤の軟膏 (金属性のチューブ入り) を家族で共用しておりました。もし軟膏にC型肝炎ウイルスが混ざってしまった場合, ウイルスは感染能力を持ち続けるのでしょうか??? 油脂の中で膜が溶けるとも思えず, となると時間がたっても壊れないじゃないかということになり, 結構, 家族の間では深刻な問題になっています・・・・・よろしくお願いします。

【回答】
 すべての微生物, 特にC型肝炎ウイルスについて, どのように感染する (危険な) のか, どのような環境では感染しない (安全な) のかを確定することは不可能です。何故なら, その微生物がそこに存在する限り, 可能性, あくまで可能性は0 (ゼロ) だと言い切れないからです。とすると, 感染する可能性が高いのか, 逆に可能性は無視できる程低いのか。もうひとつ・・・心配することがヒトの実生活において耐えられない苦痛を与えないのか。このふたつを考えることになります。金属性のチューブに入った軟膏から感染するか・・・まず, 皮膚に塗る軟膏の量は極々少量でしょう。またチューブですから, 一旦絞り出した軟膏が再びチューブの中に吸い込まれていくことはほとんどないでしょう。お母さんが塗られた箇所は出血でもしていない限り, C型肝炎ウイルスはほとんど存在しないでしょう (ただし塗られた場所は不明)。お母さん以外の方が軟膏を塗る箇所も傷のない, 一見健康な皮膚なのではないでしょうか。とすると, 感染する可能性は, お母さんの血液をそのまま輸血するのに比べれば, ほとんど無視できる程低いと考えられます。もうひとつ, 実生活への影響・・・家族の皆が, お母さんは危険だ, C型肝炎を皆に感染させるとして, 極端に避けたら, お母さんの気持ちはどうでしょう (私なら死んだほうが・・・)。ヒトの世界は微生物でいっぱいです。その微生物と一緒に生活しているのです。私なら, 和気あいあい, 暖かい家族関係を優先させます。

(琉球大学・山根 誠久)

【質問者からのお礼】
 先生の回答を読んで深く考えさせられました。実際, 感染の心配よりも, 母の治療のことでこれからどうするのかとか, どういう型でどういう治療が有効なのか。ほんとに, 実際に病院に付き添った父の話を聞いていると, なんとかして治してあげたいという思いの方が強くなりました。苦しいのはきっと母自身なんですよね。家族が支えてあげるべきなのに・・・でも, 看病する方も健康でなくてはという思いもあります。まさかがほんとになった時にどうすべきか・・・もう一度よく考えて, 母や父を支えていけるように私も努力します。ありがとうございました。


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