■ 閉鎖式輸液ルートでのカテーテル感染の発生率 | |
【質問】
感染対策室の専任看護師として, 院内感染対策に関する業務に携わっています。 現在, 当院ではIVHラインに閉鎖式輸液ルート (三方活栓を用いない) を使用したいと検討しています。ニードルレス・タイプ, ニードル・タイプと各社あるようですが, ニードルレス・タイプとニードル・タイプでのカテーテル感染の感染率に差が出るという話はあるのでしょうか??? 確かに構造上では, ニードルレス・タイプはシリンジが, ニードル・タイプは針がそれぞれコネクタに接触するため, 接触面の広いニードルレス・タイプの方が菌が入りやすくみえます。是非, 先生のお考えをお聞かせください。 【回答】
現在, 多種のニードルレス・システムが使用可能であるが、本来は針刺し事故の防止目的で開発された。いくつかのcase-controlled cohort studyでは、これらの器具がカテーテル菌血症の危険性を増加させることを証明している。・・・・・・・・・・・実験的には、ニードルレス・システムの刺入部の適切な消毒によりハブから輸液内腔への細菌の移動を防ぐことが示されている。また、crossover trialで、適切な訓練を受けた後にはニードルレス・システムを用いても感染の危険は増加しなかった。現段階ではニードルレス・システムのカテーテル菌血症に対する予防効果は不明である。 この内容からすると;
ということに要約されます。ただ気になるのは, 最後の文章で, 「現段階ではニードルレス・システムのカテーテル菌血症に対する“予防効果”は不明である」と記載されており, なにか“ニードルレス・システムはカテーテル菌血症を予防する効果を目的に開発された”ような誤解を与える部分です。いずれにしろ, 上記の3点が現在の結論であると考えています。 (琉球大学・山根 誠久)
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