02/10/24
■ 非定型抗酸菌症は結核予防法の公費負担の対象外 ???
【質問】
 非定型抗酸菌症で検索してこのページへ来ました。質問の内容が適切かどうか判断できませんので, 失礼な質問であれば, ご容赦ください。

 先週, 父が身体の不調で病院の検査を受けたところ, “結核の疑い”があるとのことで, 専門の病院に移るよう指示を受けました。専門の病院の検査結果で“非定型抗酸菌症”と診断され, この病気は“結核でない”ため, 「公的補助」は受けられないとの説明を受けました。あるホームページで, 「非定型抗酸菌症でも結核と同様の治療をする場合, 結核予防法34条の適用がある」と記述されておりましたので, 保健所にその旨質問をしましたが, 病院に言われたとおり, 公的補助は受けられないとの回答でした。結核予防法を調べましたが, 素人のため, 読み方がわかりません。あるホームページの記述に誤りがあるのでしょうか??? 教えていただければ幸いです。父は68歳で職業は研磨業です。

【回答】
 御質問には, 非常に微妙な問題を含んでいます。

 結核予防法34条を文字どおりに読めば, 保健所の説明のように“結核の診断がない限り, 公費負担の対象にはなりません”。ただ, あるホームページにあるように, かつては“非定型抗酸菌症も結核予防法の対象になっていた”時期もあります。その背景には, 非定型抗酸菌症のほとんどすべてが, “結核の既往”をもつ患者であり, 結核の古い病巣に非定型抗酸菌が定着したのだという認識が広くあったからです。ところが最近では, 保健所もより厳しく診査するようになり, “非定型抗酸菌症単独の診断名”では公費負担を受けられなくなってきました。

 一見違法行為ではありますが, 患者が公費負担を受けられるように, “非定型抗酸菌症”の診断名に加えて, “結核”の診断名を敢えて記入して申請する医師もいます。ところが, これが必ずしも違法行為にはならない場合も多々あります。何故なら, 病巣から分離された菌は, 非定型抗酸菌かもしれませんが, その病巣の基盤に“結核がない”とは言い切れないからです。胸のレントゲン写真だけで“結核”と“非定型抗酸菌症”を区別することはしばしば困難です。

 お父さんの年令, 68才を考慮すると, おそらく胸のレントゲン写真には昔の結核の跡 (???) があると思います。この昔の結核の病巣に非定型抗酸菌が定着している可能性が高いと思います。今現在, この昔の結核の病巣を診断名として“結核”と申請書に書くか否かで判断が分かれてきます。現実には, 慣れた医師は患者が公費負担が受けられるように申請書を作成しているのも事実です。担当医師に「胸のレントゲン写真から本当に結核は否定できるのですか??? 父は純然たる非定型抗酸菌の単独感染症なのですか???」と質問されるのが, まず一歩かと思います。

(琉球大学・山根 誠久)
[結核予防法より抜粋]
(一般患者に対する医療)

34条 都道府県は、結核の適正な医療を普及するため、その区域内に居住する結核患者が第36条の規定により指定された医療を担当する機関(以下「指定医療機関」という。)で厚生労働省令で定める医療を受けるために必要な費用について、当該患者又はその保護者の申請により、その100分の95に相当する額を負担することができる。ただし、当該患者が、戦傷病者特別援護法(昭和38年法律第168号)の規定によつて医療を受けることができる者であるときは、この限りでない。

【則】第22条第23条
《改正》平11法160

2 前項の申請は、当該患者の住所地を管轄する保健所長を経由し、都道府県知事に対してしなければならない。

3 都道府県知事は、前項の申請に対して決定をするには、当該保健所について置かれた結核診査協議会の意見を聴かなければならない。

4 第1項の申請があつてから6月を経過したときは、当該申請に基づく費用の負担は、打ち切られるものとする。

【質問者からのお礼】
 親切な回答をいただいてありがとうございました。お礼が遅れましたことを深く反省しております。

 父は結核にかかったことがないため, 担当医師は非定型抗酸菌症の単独感染症だと言われています。回答にあったとおり, 慣れた医師であれば, 申請書を作成されており, そうでない場合, 公費負担を受けられないことに疑問を感じます。しかも, 父は結核病棟に入院しており, 本日, 病気は治る見込みがないと診断されました。いつまでも, 結核病棟に入院ができないので近所の病院に移るよう勧められました。しかも, 近所の病院に移る条件として, “直る見込みがないことを理解した上でなら, 近所に入院させてもいい”とのことでした (近所の病院の言い分だそうです)。納得がいきません。そもそも父は半年前にその近所の病院で, 肺に菌が入り込んだとの診断で入院していました。当初は, 長く治療を要するとのことだったのに, あっけなく治ったとのことで退院させられました。今考えればその時点ですでに非定型抗酸菌症にかかっていたのではないかと疑ってしまいます。その後, 高熱で動けなくなって再度診療してもらったところ, 結核の疑いがあるとのことで, 直ちに病院から追い出されました。苦しんでる父に対してなんの手当もしないでです。現在の担当の医師はその病院に移ることを勧めています。

 本当に治らない病気なのでしょうか??? 近所の病院の態度は, “医師の倫理上問題”はないのでしょうか??? 憤りを感じます。
お礼も言わず, 愚痴の長文で大変失礼いたしました。


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