02/10/04
■ 放線菌の抗生物質産生量へ影響する因子
【質問】
 抗生物質の書物で「放線菌などの抗生物質を作り出す菌は, 培地の成分などによって, 作り出す抗生物質の量もしくは濃度が変化する」とあったのですが, 作り出す抗生物質の量もしくは濃度を増加させるためには培地の成分を変える他に何があるのでしょうか???

【回答】
 簡潔にお答えします。「培地の成分を変える他に何があるのでしょうか?」ということですので, ストレートなお答えとしては, 培養時間・培養温度・湿度・大気成分など, すべての環境条件ということになるのでしょうか。
 一般に, 抗生物質を産生する放線菌の 野生株 (wild strain) は必ずしも抗生物質の産生量は多くないのです。大量に抗生物質を産生する変異株 (mutant) を探索したり, 人工的に作成しているのが実情で, しかもその手法については, 特許法により守られております。また, その変異株の良好な発育環境において, 抗生物質が大量に産生されるとは限らず, 試行錯誤しながら, 産生に最適な条件が模索されるようです。これでは, 質問者が求めているお答えには不充分かも知れませんが,「試行錯誤」の条件のすべてが, 抗生物質の産生量に関連してくることと思います。

(信州大学・川上 由行)

[戻る]