|
【質問】
処置時にハイポアルコールを清潔操作で渡すと,「不潔だ」と言われてしまいました。調べてみると,
ハイポアルコールには滅菌している物と, 滅菌していない物があることがわかりましたが,
製造過程の違いがいまいちよくわかりません。ハイポアルコールには殺菌効果がほとんどないことはわかっていますが,
使用期限まで書かれており, キャップにて密封されているので, 無菌ではないのか???
と考えます。また他の消毒薬は滅菌してあるのか, 疑問になりましたので教えていただきたいです。
【回答】
ハイポエタノールの効能・効果は「皮膚面及び手術用器具類、布類に付着したヨードチンキ類のヨウ素の脱色作用と同時に、消毒効果がある」となっており,
殺菌効果もあります。組成は「日局 チオ硫酸ナトリウム2 g, 日局 精製水35
ml, 日局 エタノール適量」となっています。エタノール適量とは約65 ml つまり65%水溶液であり,
消毒用エタノール (エタノール76.9〜81.4 vol%) と濃度的にも近似していますし,
各種細菌に対するMICもほとんど一緒です。「精製水」はこの場合, “滅菌精製水”の意味です。医薬品はGLPという基準のもとに製造され,
“開封されるまではどの医薬品も無菌”と考えていただいて結構です。
(琉球大学・糸嶺 達)
【追加質問】
回答ありがとうございます。ハイポアルコールの消毒用エタノールが50
ml以下の場合はどうなのでしょう。そのドクターが言うには「ハイポアルコールが入っているボトルが滅菌されていないまま製造されている」と言いますが,
どうでしょう??? すいませんが, お願いします。
【回答】
反復しますが, 医薬品の製造管理および品質管理規則はGood Manufacturing
Practice, 略して「GMP」といいます。安心して使うことができる品質の良い医薬品,
医療用具などを供給するために, 製造時の管理, 遵守事項を定めたものです。「製造所のGMP体制が整っていること」が「製造業の許可を取得するための必要要件」ですので,
製造許可をうけた製薬会社が製造する医薬品ならびにその容器は無菌の状態と考えてよいと思います。
ただし, アルコール濃度が50%以下の場合(院内製剤など)は殺菌力が低下すると考えられまし,
院内製剤の場合には容器 (ボトル) が滅菌されているか否かは当該施設が決定する問題です。
[戻る]
|