■ インフルエンザ菌について教えてください | |
【質問】
股関節の穿刺液からH. influenzaeを分離しましたが, 2〜3疑問がありますのでお尋ねします。 (1) 塗抹標本では, 白血球に貪食されたグラム陰性小桿菌が見えたにも拘わらず (見えたのは貪食された菌のみ), 直接培養では発育が認めらず, 増菌培養 (GAM半流動培地とセプティチェックボトルシェドラー培地使用) 後に分離できた事例です。貪食された菌は死んでいる??? 弱っているだけ??? 増菌後に発育してきたのは, 塗沫標本では確認できないものの, 白血球の外にいた少数の菌が発育したと考えるべきでしょうか??? (2) H. influenzaeはXとV因子を必要とするのに, なぜGAM半流動培地とセプティチェックボトル (シェドラー培地)で増殖できたのでしょうか??? セプティチェックボトル (コロンビア培地) には増殖しませんでした。 (3) 今回のH. influenzaeの生物型はI型, 莢膜型はb型でした。型の違いによる病原性の強弱はありますか??? 回答, 宜しくお願いいたします。 【回答】 (1) 莢膜をもつ細菌は, 貧食や補体, リゾチームなどによる溶菌に抵抗性であるため, 好中球に貧食されても抵抗して細胞内で生存しているものと思われます。したがって, 増菌培地中で好中球が死滅して, その後に菌の発育が認められたのではないかと考えられます。 (2) H. influenzaeの発育にはX因子 (ヘミン) とV因子 (NAD) が必要です。X因子はGAM半流動培地 (消化血清末) とシェドラー培地に含まれますが, コロンビア培地には含まれていません。またV因子は酵母エキスに含まれるため, これら3種類, いずれの培地にも含まれます。したがってコロンビア培地には発育できず, GAM半流動培地およびシェドラー培地では発育可能となります。 (3) 生物型や莢膜型の違いによる病原性の強弱については, 成人は型別不能 (nontypable) がほとんどですが, 小児の敗血症・髄膜炎ではtype bが多く, 病原性も強いことが知られています。 (愛媛大学・宮本 仁志) 【質問者からのお礼】
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