03/08/19
■ 薬剤感受性試験でのK-B法とはどんな試験ですか???
【質問】
 食肉衛生検査所に勤務する獣医師です。現在と畜場の細菌検査を行っていますが, 文献などで薬剤感受性試験の検査方法としてK-B法という記述がみられます。K-B法とはどのような検査方法なのか, 詳細に教えて頂きますようお願い申し上げます。

【回答】
 Kirby W.M.M.とBauer A.W.によって提唱された薬剤感受性試験の方法を通称, K-B法と呼んでいます。現在では, このK-B法を基本原理とした試験方法が世界的に標準化された試験として受け入れられています。試験方法はひとつの濃度の薬剤を含む小円形ろ紙 (ディスク) を用いた“ディスク拡散法”と表現できます。その手順の概略は, (1) 一定の濃度に調製した試験対象とする菌浮遊液を準備し, (2) 寒天培地 (組成, pH, 厚さなどを規定) の上に試験菌液を満遍なく塗り広げ, (3) 試験する薬剤を含ませた小円形のろ紙を寒天の上に載せ, (4) そのまま培養する・・・培養している過程で, ろ紙に含まれる薬剤が寒天内にしみ出し, 拡散していく。ろ紙の周りは高い濃度の薬剤が分布するので, 菌の発育が阻止される。培養した後, 寒天培地を観察すると, ろ紙の周りに菌発育のない円形 (菌発育阻止円) が現れています。その菌発育阻止円の大小, すなわち直径の大小が, 試験した薬剤に対する菌株の感受性度を反映しています (大きいと感性, 小さいと耐性)。

 獣医師ということですので, 獣医領域でも既にK-B法を原理とする薬剤感受性試験が標準化されています。詳細な試験方法 (菌濃度, 培地, 試験の手順など) については, 米国のNational Committee for Clinical Laboratory Standards (NCCLS) が下記の刊行物を発行していますので, 参考にしてください。

文献

  • Bauer AW, Kirby WMM, Sherris JC, Turck M.: Antimicrobial susceptibility testing by a standardized single disk method. Am J Clin Pathol 45:493〜496, 1966
  • National Committee for Clinical Laboratory Standards (NCCLS): Performance Standards for Antimicrobial Disk and Dilution Susceptibility Tests for Bacteria Isolated from Animals; Approved Standard?Second Edition. NCCLS document M31-A2 (ISBN 1-56238-461-9), NCCLS, Wayne, Pennsylvania, U.S.A.
(琉球大学・山根 誠久)

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