02/04/28
■ 「感染予防マニュアル」の作成にあたって
【質問】
質問です。私の勤める病院はこれから開院, ということで今, 感染予防マニュアルを作っています。
まず。
(1) 三方括栓の死腔はどのように扱えばよい?
 です。今まで私は (1) 後には酒精綿で薬液を拭き取る, (2) 前には酒精綿で拭いてから, というようにしていました。新しい病院での考えは「イソジンで消毒をする」なのですが, 手間がかかり (回診車を持たなければならない?), 色がつくので患者から見てきれいには見えないかな, と思いました。
(2) 酸素カヌラやマスクの交換頻度は?
 これも以前の病院では週に1度の交換だったのですが, 他の病院からきた看護婦に聞くとそれぞればらばらな答えが返ってきてしまい。どのように定義したらよいかわからずにいました。
(3) 吸入器 (超音波ネブライザー) の消毒方法について
 以前は1日に1回弱酸性水につけて消毒, 週に1度ハイタ−で消毒となっていました。使用後はアルコール綿で拭いて乾燥, という感じでした。
 以上3点, 感染予防の観点からご指導ご鞭撻よろしくお願いします!!!

【回答】
(1) 三方括栓の死腔はどのように扱えばよい?
 第1にお奨めすることは, 三方活栓の使用中止です。理由は, ご質問のように三方活栓は, 消毒・衛生管理が困難なため, カテーテル敗血症などの問題が生じているからです。この対策としては, 衛生管理が容易で, 針刺し事故のない「インターリンク: B-D社」の採用をお奨めします。この装置は金属を使用していないことと, 抗菌薬などの注入時に注射針を用いないため安全です。一方予算的に高価でしたら, アイセット・アイプラグの導入をお奨めします。詳細な説明は企業の方から受けて下さい。
 また, 予算的に現行法が変更出来ないのでしたら, 手指洗浄後に, 清潔管理されている80%消毒用エタノールを滅菌綿棒などに浸し, 十分に清拭後, キャップをして下さい。清潔操作で三方活栓を扱うことが大切です。なお患者にイソジンの消毒効果を予め説明し, 理解して戴ければイソジン消毒でも結構です。
(2) 酸素カヌラやマスクの交換頻度は?
 感染症患者が発生していない場合, または酸素カヌラにフィルターが装着されている場合は, 基本的に週に1回の交換で十分です。ただし, 感染症患者が使用している場合やフィルターが装着されていない場合は1週間に2回程度の交換が必要です。これは緑膿菌感染症患者などが使用している場合, マスクや蛇腹内の僅かな水分中でも緑膿菌は簡単に増殖し, マスクやフィルターを高度に汚染してしまうからです。
(3) 吸入器 (超音波ネブライザー) の消毒方法について
・・・「弱酸性水」とは, 消毒薬なのでしょうか? 通常は「強酸性水または超酸性水では・・?」 もし, 塩素系の消毒薬でしたら現行の方法で十分です。

(大阪大学・浅利誠志)

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