03/08/13
■ 乾燥食品の微生物検査について
【質問】
 初めまして。私は, 品質管理部でめんつゆやスープ系の微生物検査を担当しております。早速ですが, わかめや煮干しなどの乾燥食品は, どのように検査査すれば良いのでしょうか??? 参考書を見ても良いのが見つかりません。また, 原料の醤油, 味噌, 鰹節, すべての検体にリン酸緩衝液希釈水を使用しているのですが, 同じ希釈水を使用して菌の出方に違いがあるのでしょうか??? 初歩的な質問で申し訳ありませんが, 回答の方宜しくお願いします。

【回答】
 なにを目的に乾燥食品を検査するのかによって, 検査方法が異なってくると考えます。

 まず検査に先立って, 発育してきた菌集落 (コロニー) の数をどのように表示するのか考えてください。“単位”のことです。例えばワカメでしたらふたつの単位が考えられます。ひとつは○○個 (colony forming units: CFU)/cm2と●●個 (CFU)/gramでしょう。前者ですと, 単位面積当りの菌集落数ですから, ワカメの一定の面積をぬぐい取り, それを適当な水溶液に浮遊, 希釈して培養することになります。後者ですと, 単位重量当りの菌集落数ですから, 一定の重量のワカメをすり潰し, それを適当な水溶液に浮遊, 希釈して培養することになります。検査の原理からして, 後者の検査方法がより正確になると考えられますし, その他の乾燥品にも応用できると思われます。

 リン酸緩衝液を希釈液として細菌検査に使用するのには特に問題はありません。滅菌蒸留水でも問題ないと考えますが, 特に, 酸性, アルカリ性の強い検査対象物を検査するのにはある程度の緩衝能をもつ希釈液を使うのが無難であると思います。希釈液に求められる性能としては, その溶液に細菌を浮遊した場合, 菌数が変化しない (死滅も増殖もしない) ことです。

(琉球大学・山根 誠久)

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