■ 経腸栄養管理患者における“偽膜性腸炎の院内感染対策” | |
【質問】
経腸栄養管理患者において, 抗生剤投与の有無に関わらず, 偽膜性腸炎が流行しています。非感染者と感染者の消毒分別など行っていますが, 現状はかわりません。偽膜性腸炎に特定せず, 経腸栄養管理において具体的な感染対策を教えてください。例としてボトル, tubeの消毒方法, 交換頻度, 留置中のNG チューブ, ED チューブ, PEGの清潔管理, 感染防止の面で必要と思われる交換頻度など。 また, 隔離を行った場合, 解除となる基準を教えてください。(培養を何回, どのくらいの間隔で陰性であれば解除していいのか, 培養が一度陰性となった場合, 次に検査を行うまでの期間, 感染症扱いを続ける場合, 他の陽性患者と同様に扱うことで再度感染する可能性もあると思うのですが・・・) 【回答】
先ず, 感染者と非感染者の分別をしてもうまくいかないということですが, CD感染のリスクが高い人の“逆隔離”には, 経腸栄養管理することになった発症していない患者さんの便のCD保菌状態を検査していただくと確実です。CDの保菌のない人にCD感染し, PMCへと進展する危険性が高い人が含まれます。一部に保菌していない人で, CDに抵抗性の人がいますが, 区別は難しいので, 同じように扱うことになります。 CDによる病型は, 宿主の免疫応答の程度により, 保菌で終わる場合, 軽い下痢, 重症の下痢, PMCと多様です。発症する人は免疫応答が遅い人です。応答が速い人は無症状の保菌者あるいは軽い下痢ですみます。伝染経路は, 環境や糞便中のCDが口から入ること, そして医療従事者が介する交差感染です。CDを含む下痢便が問題です。下痢便の処理を遺漏にないように厳密に実施して下さい。また, 排菌している患者のいる部屋の清掃をしっかりお願いします。特に, 消毒剤を使う必要はありません。培養で毒素産生のCDが出ても, 下痢をしていなければ, 腸内容物の周囲への拡散の危険がなければ, 隔離は解除してよいと思います。ボトルやチューブの消毒方法, 交換頻度, 留置中のNG チューブ, ED チューブ, PEGの清潔管理などは, この基本を頭に入れて, もう一度ミスがないか見直して下さい。 (岐阜大学・渡邉邦友)
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