■ “結核”について教えてください | |||
【質問】
こんにちは。岡山県に住んでいます。私は, まだ小学生なのですが, スカパーの「ディスカバリーチャンネル」を見て, 結核菌で人が亡くなっているといっていました。この結核菌とはどのようなものなのですか??? また治療法はあるのですか??? できたら小学5年生が分かるような説明をしてもらえませんか??? (ほかのページは難しくて, あまり意味がわからなたったので・・・) よろしくお願いします。 【回答】
結核菌は, 結核の患者さんの“せき”の中に含まれて, 周りのヒトに伝染します。“せき”の水分が空中で乾燥して“ほこり”となり, この非常に小さな“ほこり”を肺に吸い込むことで, ほかのヒトに移っていきます。結核菌はほかの細菌と比べて強い抵抗力があり, 乾燥状態でも, 高い温度でも, 消毒薬に対してもなかなか死にません。また結核菌がヒトの身体のなかに入ってくると, ヒトの細胞はこれを食べて殺そうとします。ほかの細菌では食べられたら死んでしまうのですが, 結核菌は食べられても, まだ細胞の中でしぶとく生きているのです。ただ, ほかの細菌は活発に細胞分裂して急速に増えていきますが, 結核菌は非常にゆっくりと増殖する性質があります。 小学校でツベルクリン反応の注射をすると思いますが, あのツベルクリン反応で大きな赤い反応ができると, これまでに結核菌がそのヒトの身体のなかに入ったことを意味しています。結核菌が身体に入っても, すぐに結核になるわけではありません。ほとんどのヒトは発病しません。発病はしないのですが, 結核菌は生き続け, お年寄りになって, 身体が弱ってくると発病することがあります。また, 栄養が悪く, 抵抗力の弱いヒトでは簡単に結核を発病してしまうこともあります。 結核になった場合, この結核菌を殺す治療法はあります。これは薬で, 飲んだり, 注射したりすることになります。でも, 結核の治療はほかの感染症と比べて長い期間, 薬を使う必要があります。長い期間, 薬を使うことはお金もかかります, ついつい飲み忘れてしまうこともあります。我慢強く治療することがなかなかできないという問題があります。 日本では, 結核は第二次世界大戦より前の時代に大きな社会問題となりました。戦後, 結核の治療薬が使われ, 結核の患者の数も減ってきましたが, なかなか0 (ゼロ) にはなりません。むしろ患者の数は最近増えているとも言われています。これからも注意していかなければいけない伝染病のひとつです。 (琉球大学・山根 誠久)
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