03/06/25
■ 複数菌種が混在した液体培地からの結核菌の純培養
【質問】
抗酸菌検査を行っているものですが, 液体培養で陽性となり, TB complexとM. aviumの混在が確認されました。感受性検査を行うにあたり菌液を希釈(100倍, 10000倍, 1000000倍)し, Middlebrook 7H11平板寒天培地に培養したのですが, M. aviumは純培養され, 感受性検査を実施することができました。しかしTB complexは培地に発育してきませんでした。実際発育速度も違うし, 菌量に差があったのかもしれませんが (DDHではM. avium 63%と同定), 今回のように2菌種混在の場合TB complexを純培養するのにはどのようにするのが良いか教えて下さい。

【回答】
液体培地に限らず, 複数菌種の抗酸菌が混在する状態から純培養する方法は, 今回, 試みられたように, 希釈した菌液をミドルブルック寒天培地に接種して単独コロニーをピックアップする方法しかないものと考えます。特に今回のような, 結核菌とM. aviumの組み合わせの場合には, 上手く発育し, かつ単離してくることを予想して, 数段階の希釈菌液を寒天平板に接種してみることだと考えます。非結核性抗酸菌はPNB培地を用いることで, 結核菌との分離は可能ですが (結核菌はPNB培地には発育しないため), 結核菌を選択分離する方法は現状ではなく, 大変難しいと言えます。ただし, 質問の記載で気になる点として, 結核菌が100倍希釈菌液でまったく発育してこないと言う点です。元の菌液に含まれる菌量が極めて少ないことも想定されますますので, 菌液原液や10倍希釈菌液も用いて見るべきではなかったかと思われます。御質問の趣旨のように, 結核菌の発育支持能が高く, 選択分離できる寒天培地を早急に開発する必要がありますね。

(極東製薬工業・岡沢 豊)

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