03/12/04
■ 結核菌について
【質問】
 この前入院した患者さんが, 両側の結核を疑う肺炎だったんですが, ガフキーは4号だったにもかかわらず, PCRは陰性およびMACも陰性でした。こういうことがよくあるのでしょうか??? 勉強不足ですが, 今はガフキーではなく他の検鏡法もあると聞いたのですが, それはどういったものなのか教えてください。

【回答】
 質問されている内容に混乱があり, 実際になにを質問されているのか正確には理解できません。

(1) PCRは陰性およびMACも陰性・・・PCRは検査方法の名称であり, 検査方法が陰性とはどういう意味でしょうか。MACも陰性とありますが, これはPCR法でMACを検出しようとしたが, 陰性だったという意味でしょうか。それとも培養でMACは分離されなかったということでしょうか。

(2) そもそも, 患者が結核であるのか否かを検査して診断するのが検査の目的ですから, 結核菌がいずれの方法でも検出できなければ, 結核を疑っても, 結核とは確定診断できないのは当たり前のことです。ただ, その前提として, その検査室で実施されている検査が結核菌を正しく検出できるという保証が必要です。

(3) ガフキーではなく他の検鏡法もある・・・ガフキーという言葉は“結果の表示方法”であり, 必ずしも染色・検鏡法を規定するものではないとみなされます。染色・検鏡法について質問されているのでしたら, 蛍光染色法での蛍光顕微鏡を使った方法とか, チール・ニールゼン染色とは異なり, 加熱を必要としないキニアン染色での光学顕微鏡での観察とかあります。また検体をあらかじめ均質化して遠心濃縮するか否かでも検鏡の結果は違ってきます。

どうも, 質問の内容を読みますと, 胸部X線写真は結核らしい, 加えてガフキーも4号だった。結核だと予想していたのに, 結核もMACも検出できないと理解できます。検査室としてはまず, すべての検査が正しく行われていることを検証することが必要です。正しく抗酸菌染色ができているのか, PCR法は正しく実施されているのか, 抗酸菌培養では標準菌株で期待される結果が得られているのか, 精度管理の結果をもう一度再確認することを強く勧めます。

(琉球大学・山根 誠久)

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