|
【質問】
抗酸菌抗体検出キット (マイコドット) やESAT-6を使った血液検査がありますが,
病棟で結核塗沫陽性患者がでて, 同室患者や医療充実者が感染したかの早期判定にこれらの検査キットは役立つのでしょうか???
“感度”が低くても, “特異性”が高いようなら, イソニアジド (INH) を確実に飲まなくてもいい人を選択できるので,
有用な気がするのですが ... ???
【回答】
回答します。
結核菌の抗体検査の臨床的感度, 特異度については一定の評価が定まっておりません。活動性の肺結核患者においてさえ,
培養検査に対する感度と特異度に検査キット間でばらつきがあります。まして発病していない感染状態か,
非感染状態かの鑑別に用いることはできません。しかしながら最近, LancetにESAT-6が結核排菌患者曝露時の感染判定診断に使えるのではないかという論文があります
(Lancet 2001; 23; 357: 2017〜2021)。英国人を対象にした研究で, 曝露の程度が大きいグループではツベルクリン反応陽性よりESAT-6陽性が多くみられ、曝露が最も少ないグループ19人ではEAST-6テスト陽性者がみられなかったというものです。またBCG接種歴とESAT-6陽性の間に相関はなかったという結果でした。かなり有望ですが,
まだ予備的な実験段階で, このことが個々のケースにどのようにあてはめていくのかといったことは不明です。
(京都大学・一山 智)
|