04/02/27
■ 結核菌の院内感染
【質問】
 こんにちわ。保健師をしている者です。

 結核菌はN95マスクで感染予防できるということはわかるのですが, 例えば結核患者さんにN95マスクを着用して面接した場合, 衣服などにも結核菌が付着していると思うのですが, そのまま消毒もなしに結核病棟を出てしまっていいのでしょうか。院内感染の原因にはならないのでしょうか??? 衣服についた結核菌が空気中に舞い, それを吸入することで自分も感染することはないのでしょうか??? それとも, 衣服に付着した結核菌の感染性はすぐに失われるのでしょうか??? 教えてください。

【回答】
 ご存知のように, 結核患者さんで注意を要するのは開放性結核です。この場合には, 咳により結核菌は飛核として空気中に漂い, 密閉状態の部屋では空気感染を起こします。そのため部屋の換気が必要となります。感染する危険率の高い患者さんとの面接には注意が必要です。N95マスクを着用するのも感染予防のためです。場合によっては, 対話中にも飛沫がかかることもあるでしょう。その結果, 衣服が結核菌により汚染されることも場合によっては起こり得ることです。衣服が汚染された場合には, 衣服に付着した結核菌を貴方自身が運ぶことになりますので, これは避けなければなりません。当然, 危険と感じた場合は, 着衣を着替えて病棟に出るのが良いでしょう。結核菌に汚染された衣服は感染源にもなり, 院内感染の原因になります。衣服についた結核菌は, ご指摘のように, ほこりと共に舞い上がり, 吸入したヒトが, すべてではありませんが, 抵抗力が低下した状態では感染します。また, 結核菌の特徴は感染力の強いことと, 乾燥, 酸やアルカリ, 消毒薬にも抵抗性があり, 中途半端な加熱では死滅しないことです。飛び散った結核菌は数カ月も生き残ります。

 いずれにしても, 医師や看護師が着用する白衣は仕事着であり, 診療現場で各種の病原微生物により汚染されます。そのため, 衣服の定期的な交換や, 汚染された白衣は速やかに新しいものに交換などして清潔に保つことが必要であります[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/restaurant.html]。

(近畿大学・古田 格)


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