■ 知人が結核性胸膜炎の疑いで・・・ | |
【質問】
知人が5月2日から, 血性で濁った胸水が5 Lも溜まり, ADAが100近くあり, “結核性胸膜炎”を疑われ結核病棟に移されました。結核菌を排菌していないので第34条の治療をしています。主治医は培養してから結果が出るまで8週かかるので, それまでは退院出来ないと言っています。最初に胸水を採り(これは救急治療だとおもいます), 1週間後には肺結核の疑いもあるとのことで胃液の培養もしています。本人は元気で, 退屈して入院生活をしていますが, 知人の奥様は薬の副作用, 結構高い入院費 (半月13万円), また近所には内緒にしなければならない辛さで, ノイローゼ気味です。1日も早い退院を望んでおられます。また最近心配事ができたそうです。最初は結核病棟でも入り口に近い方の病室だったのが, 奥の方の肺結核の人たちの隣の病室に移されました。病室のドアは開けっ放しです。結構重症の人とか, 無菌の人を混ぜてはしないのですが, 病室間を移動するようです。前置きが長くなり申し訳ないですが, 私の質問は2点です; (1) 培養で陰性と出るまで, 入院していなければいけないのか???
【回答】
まず, 血清の胸水が5 Lも貯留していたことについてですが, 胸水が貯留することは正常とは云えず, 明らかに病的な状態です。しかも, 5 Lも貯留していることは確実に異常な状態が胸にあることが考えられ, “入院が必要な病状”です。胸水が貯留する状態にはいくつかの原因がありますが, 癌, 結核や細菌 (結核以外の) 性胸膜炎などが主なものです。これらの原因を鑑別する方法にはいろいろありますが, ADAもこれらを鑑別するための方法であり, 結核性胸膜炎では高い値を示すことが知られています。100 IU/Lは明らかに高い値ですので, 最も結核が考えられます。このような状態では日常生活にも影響があり, 当然, 入院治療が必要になります。そして, 入院生活に退屈しているとのことですが, そんなことは問題外です。どうも患者さんは, 自分がどのような状態にあるのか, 正しく承知していないようです。恐らく, 今回の発症にしても不摂生や不規則な生活も関係しているように思えます。 病室の配置換えにしても, 病院の先生は当然, 感染症については御家族が心配される以上の配慮をしていると考えますので, 専門医にまかせるべきです。現在, 最も必要なことは, 診断を確定し, 適切に治療することですので, 患者さんは治療に専念すべきです。中途半端な入院治療では再発も心配されます。このような事情を踏まえ, ご家族は入院をサポートしましょう。 (近畿大学・古田 格)
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