03/10/07
■ 結核病棟に勤務後のシャワー浴の必要性
【質問】
 質問コーナーを拝見させて頂きました。

 結核患者のいる病棟に勤務をはじめてまもない看護師です。病棟には, ガフキー5号の患者や排菌していない患者がいます。結核感染予防に, N95マスク, 予防着, ガーゼヘアキャップをつけて勤務しています。文献では, マスクの着用と手洗いをきちんと行えば感染は防げるとありましたが, “勤務が終わるとシャワーを浴びる”ことが勧められています。空気感染なので, もちろんきれいにして家に帰りたいと思うのですが, 実際の必要性はどうなのでしょうか???

 それと, 結核菌というのは, 普通は“自然界にはどこにどのようにして存在している”のですか。素人のような質問ですみませんが, よろしくお願い致します。

【回答】
 動物には結核菌がいないという前提で, 自然界ではヒト患者の気道に由来する小さな水滴が乾燥した飛沫核のなかに結核菌が含まれて, 空気中を漂っています。従って, 結核は“飛沫核”を吸引して起る飛沫感染であり, 径5 μm以上の飛沫核は上気道の粘液線毛系でとらえられ, 逆に1 μm未満 の極小さな飛沫核は呼気とともに排出され, 肺胞には定着しないと言われています。結核菌を1〜3個含む, 径1〜2μmの飛沫核が最も肺胞に定着しやすいと言われています。結核の感染は, 肺胞に到達した結核菌を含む飛沫核を肺胞マクロファージが貪食し, マクロファージ内で結核菌が増殖を開始してて感染が成立します。

 勤務後のシャワーの必要性については, N95マスク, 予防着, ヘアキャップなどが適切に使用されていれば, 感染予防としては充分であり, 特にシャワーの必要はないと思われます。気持ちの問題かもしれません。

(国立都城病院・斉藤 宏)

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