■ 血液培養ボトルへの採取の順序について | |
【質問】
はじめまして。私は細菌検査を担当している検査技師です。すごく初歩的な質問で恥ずかしいのですが, 血液培養検体の採取方法について教えていただきたいのです。 当院では, 血液培養は, 1検体につき好気培養用と嫌気培養用の2種のボトルを使用しており, 各外来・病棟でそれぞれのボトルに血液を注入したものが検査室へ提出されます。ところが先日, 看護師より「嫌気用と好気用のどちらのボトルから血液を注入すればよいのか???」との問い合わせがあり, 返答に困ってしまいました。いろいろ調べましたが, ほとんどが採血部位の皮膚消毒と, ボトルの穿刺部の消毒に重点が置かれており, 各ボトルへの血液注入の順序についてはあまり触れられていませんでした (ひとつだけ『嫌気→好気の順』と記載されているものがありました)。私は, 皮膚やボトルの穿刺部の消毒をきちんと行っていれば, 血液の注入の順序は特別気にしなくてもよいように思うのですが, やはり順序は重要でしょうか??? これを間違えると菌の検出に支障が出てくるなど・・・ 稚拙な質問で申し訳ありませんが, ご返答の程, 宜しくお願い致します。 【回答】
ご質問のペアボトルへの血液接種の順序についてですが, 注射器で静脈より採血する時, 時として空気が注射筒に存在していることがあります。注射針を下にしてボトルに接種したら, 空気は上の方に上がります。最初に嫌気性ボトルに接種すれば空気が注入されなくなります。このことから, 血液ボトルの製造メーカーによっては「嫌気→好気の順」として注意を促しているところもあります。しかし, 接種順序について検討した報告は調べた限り見あたりませんでしたので, 検出菌の差などについては不明です。 一方, 同時に複数のボトルへ接種する場合は, コンタミネーションのことを考えて, 発育支持力の高い培地に先に接種する方がよいという考え方があります。後に接種するほどコンタミネーションの危険性が高くなるからです。例えば, コロンビア培地とチオグリコレート培地を併用した場合は, コロンビア培地に先に接種します。この場合ですと嫌気用のチオグリコレートが後になります。 こういったことから, 質問にあるとおり, ボトル接種の順番は「どちらでも構わない」が正解と言えます。大切なのは, 先に述べた血液培養を行う際の4つの注意点の遵守です。採血をされる方には, 改めてそのことを伝えてあげましょう。 (京都大学・田中 美智男)
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