■ 検体の希釈水に紫外線を当てることの可否 | |
【質問】
生協の検査室で食品微生物の検査をしている者です。いつもこの質問箱で勉強させていただいています。さて, 培地に紫外線を照射することは, 培地の変性を生じて, 微生物に対する発育支持能が低下するとの記事を読みまして, 早速当検査室でも培地には紫外線を当てないよう作業手順を変更いたしました。 そこで質問なのですが, 希釈水 (リン酸緩衝生理食塩水) をねじ口びんにいれてオートクレーブ後, 希釈水が冷めてからフタを締めているのですが, その際クリーンベンチ内で紫外線を当てながら冷ましていました。希釈水に紫外線を当てることは良いのでしょうか, それとも悪いのでしょうか??? 紫外線による活性酸素の発生が培地支持能低下の原因なら, 希釈水にも影響があるように感じるのですが。お教え下さいますよう, よろしくお願いいたします。 【回答】
(日水製薬・三品 正俊)
(回答の補足)
紫外線は放射線 (γ線など) と違い, 物質の透過性が乏しいので, ガラス製の容器に入れた希釈液にはほとんど影響がないと考えられます。それより, クリーンベンチに入れたオートクレーブ済みの希釈液に何故, 紫外線を照射しているのかが疑問です。正確な無菌操作と正常に作動しているクリーンベンチがあれば, ことさら紫外線を照射する必要はないと考えますし, 余分な要素 (紫外線照射) を検査手順に含めると, 予想外の結果になった時の解釈がさらに複雑になることが予想されます。 (琉球大学・山根 誠久)
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