■ 期待陽性率, 期待陰性率とは??? | |||||||||||||||
【質問】
現在, 新たなH. pylori検出法の開発をテーマに修士論文を書いております。ひとつお聞きしたいことがあります。検出法の感度, 特異度を求める際に“陽性期待率”や“陰性期待率”なども算出しますが, これらの表す意味が今ひとつわかりません。これについて教えていただきたく, メール差し上げました。よろしくお願いいたします。 【回答】 恐らく, predictive positive value (期待陽性率), predictive negative
value(期待陰性率) についての質問だと思いますので, その意味で回答します。下の表をみてください。
(a, b, c, dは件数を示す) 感度 (sensitivity) = a×100/(a+b) 特異度 (specificity) = d×100/(c+d) 期待陽性率 (predictive positive value) = a×100/(a+c) 期待陰性率 (predictive negative value) = d×100/(b+d) と定義されます。いずれもその単位は% (パーセント) です。数式から読み取れるそれぞれの意味は: ・“感度”とは, 標準法で「陽性」と判定される件数の内, 何パーセントが評価対象とする方法で「陽性」に判定されるのかを示す%比率 ・“特異度”とは, 標準法で「陰性」と判定される件数の内, 何パーセントが評価対象とする方法で「陰性」に判定されるのかを示す%比率 ・“期待陽性率”とは, 評価対象とする方法で「陽性」に判定された件数の内, 何パーセントが標準法でも「陽性」に判定されるのかを示す%比率 ・“期待陰性率”とは, 評価対象とする方法で「陰性」に判定された件数の内, 何パーセントが標準法でも「陰性」に判定されるのかを示す%比率 評価に用いる「標準法」は, 当然ながら, できるだけ「真の陽性」, 「真の陰性」を決定できる方法が望ましいのですが,
実際には, その時の最も標準的な方法, あるいは従来から行われている方法が使われています。例えば貴方の場合,
H.
pyloriの培養法を「標準法」として, 開発中の試験方法を評価することになります。
(琉球大学・山根 誠久)
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