03/12/24
Klebsiella ornithinolyticaって, どんな細菌ですか
【質問】
 初めまして。大学2年の学生です。最近微生物の実験をする機会がありました。この実験ではプレートテストによる細菌の決定を行ったのですが, その結果, その細菌はKlebsiella ornithinolyticaらしいということが分かりました。インターネットや辞書などで調べたのですが, Klebsiella属やKlebsiella属のその他の菌の説明しかなく, この菌そのものの説明は見当たりませんでした。人の臨床体で見つかることは極めて稀であるらしいことは分かったのですが・・・。Klebsiella ornithinolyticaとはどのような細菌か教えて下さい。よろしくお願いします。

【回答】
 珍しい細菌に出会ったものですね。私個人はこれまで特に注意したことはありませんでした。

 Klebsiella ornithinolyticaという細菌は, 当初, ornithine-positive Klebsiella oxytocaとして知られていましたが, 1989年に日本の著名な細菌学者 坂崎利一氏等によって, K. oxytocaとは異なる菌種に分類されました1)。その後, DNA-DNAハイブリダイゼーションの成績から, Klebsiella属が細分され, K. ornithinolyticaRaoultella ornithinolytica comb. nov.と命名することが提案されています2)。臨床細菌学では, K. oxytocaとの正確な鑑別同定, 環境細菌学では, 魚介類に起因するヒスタミン中毒での原因菌の確定3)といったことが話題になっているようです。PubMed[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/PubMed/]で検索しても, 極限られた文献しかヒットしません。

[参考文献]

1) Sakazaki R, et al.: Klebsiella ornithinolytica sp. nov., formerly known as ornithine-positive Klebsiella oxytoca. Curr. Microbiol., 18: 201〜206, 1989.

2) Drancourt M, Bollet C, Carta A, Rousselier P.: Phylogenetic analyses of Klebsiella species delineate Klebsiella and Raoultella gen. nov., with description of Raoultella ornithinolytica comb. nov., Raoultella terrigena comb. nov. and Raoultella planticola comb. nov. Int J Syst Evol Microbiol. 51: 925〜932, 2001.

3) Kanki M, Yoda T, Tsukamoto T, Shibata T.: Klebsiella pneumoniae produces no histamine: Raoultella planticola and Raoultella ornithinolytica strains are histamine producers. Appl Environ Microbiol. 68: 3462〜3466, 2002.

(琉球大学・山根 誠久)


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