04/03/03
03/03/09
■ この菌はどんな菌でしょうか
【質問】
 私は高専の物質工学科に通っている者です。時間が少ないのと, 私のミスで, 少ない実験しかできず, 同定に大変困っています。1%ペプトン, 1%Na2CO3のアルカリ性寒天培地で培養しました。黄色いコロニーができ, グラム陽性でした。しかし桿菌とも球菌ともいえる形をしており (短桿菌!?), 好気または微好気, 通性嫌気性とも考えられ, カタラーゼは陽性でした。最適温度は25〜30℃, 最適pHは11〜12で, ゼラチンを液化したことからタンパク分解性はあると思います。界面活性資化性, 窒素資化性は無です。私の無知で, 酸生成や糖発酵の実験はできなくて, これしかわからないのですが・・・何属の菌と推定されますか???

 菌をとったのはモップを洗った時の汚水からです。本で調べても行き詰まってしまったので・・・どうかお力を貸して下さい。初心者ですみません。

【回答】
 これだけの成績からはまったく何属の菌であるとの推定は不可能です。環境には多数の菌種がありますので不明ですし, 菌の分離・同定技術と知識も不明ですので, 回答が大変困難です。通常は分離培地としては非選択培地として血液寒天培地を主に用いて, 集落の色調や大きさ, 溶血性, 粘性, 臭いなどを観察します。特定の菌を分離するのであれば, 選択培地を用います。例えば, 黄色ブドウ球菌であればマンニット食塩培地やスタフィロコッカス110番培地などです。それから培養条件も通常のふ卵器か炭酸ガス培養器か, 嫌気性培養器を使用しての培養を観察します。温度と培養時間は35℃で一夜培養後に集落を観察します。その集落について, グラム染色を実施し, グラム染色性と形態の観察をした後, 生化学的性状 (ブドウ糖分解性, 乳糖分解性, アミノ酸利用能, 運動性, クエン酸利用など) を, 成書に掲載されているものと比較して最も近い性状を示す菌種とします。

(愛媛大学・村瀬 光春)

【質問者からのお礼】
ありがとうございました。参考にさせていただきます。


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