|
【質問】抗酸菌検査での喀痰前処理法についてお伺いします。
いままでのNaOH法による前処理からNALC-NaOH法による前処理法へと推奨される前処理法を様々と検討してきました。しかし,
最近前処理法として様々なメーカーから処理試薬がでて, 混乱している状態があります。NALC-NaOH法による前処理法を基本にと考えてきましたが,
液体培養を導入するに当たってまた前処理法の検討が必要かと考えてます。いったい,
どの培養法に対してどのような前処理が最適なのか, またそれを一本の検体で行うためには,
どのような順番で検査(塗抹・培養(固形, 液体)・核酸増幅法・同定・薬剤耐性)をしていけばいいのか,
教えて下さい。
【回答】難しい問題です。ちょうど国内における抗酸菌検査が変革の時代を迎え,
情報が交錯して, 検査現場での混乱を来していると考えています。
NALC-NaOH法を基本として検討してきたということですが, それで宜しいと思います。ただNALC-NaOH法は,
30年以上前に考案された前処理法であり, 喀痰に混在する一般細菌としてはブドウ球菌と連鎖球菌のみを前提としていました。結核患者の高齢化,
多くの患者が慢性の呼吸器疾患をもつ, 喀痰に混在する細菌, 微生物が多様化してきたという時代の流れから,
果たしてNALC-NaOH法が最良の方法であるのかという点に疑問がもたれています。私のところでは,
semi-alkaline protease (スプータザイム)をNALC-NaOH法に併用しています。核酸増幅を含め,
抗酸菌検査の流れも特に支障なく現在に至っています。これから検討したい点は,
(1) 有効期限の短いNALCに代わり, スプータザイムのみを使用することの可否,
(2) アルカリ (NaOH) 処理の後, 酸処理を加え, さらに分離率を向上できるか否か,
(3) 遠心操作の簡略化, などです。
現在私の検査室で採用している抗酸菌検査の流れは, 綜合臨牀 48 (9) 2231-2232,
1999 に紹介しています。
(琉球大学・山根 誠久)
|