03/01/28
■ 抗酸菌染色で白血球は何色に染まる???
【質問】
 学校で出された課題に「結核菌, 大腸菌, 黄色ブドウ球菌, 白血球を用いて, 抗酸染色法の原理を説明し, それぞれは何色に染まるか, 従ってどの菌が抗酸菌か述べなさい。」という問題がありました。結核菌は抗酸菌で, 大腸菌, 黄色ブドウ球菌は抗酸菌ではないと分かりますが, 白血球は一体, 抗酸染色をすると何色に染まってしまうのですか???

【回答】
 下の写真がヒト血液をそのまま塗沫したスライド標本を抗酸菌染色 (チール・ニールゼン染色) したものです。白血球 (多核白血球) の核が青く濃く染まっているだけで, 本来観察できる筈の細胞質の部分はほとんど識別できません。周りにはたくさんの赤血球がある筈ですが, ヒト赤血球には核がないため, これもほとんど染色されていません。少なくとも白血球は赤く染まっていないことから, 抗酸菌染色では“陰性”です。抗酸菌染色で陽性になる (赤く染まる) ためには, 観察する対象物にある特定の化学組成が必要です。学校で出された「抗酸菌染色の原理を説明しなさい」という問題は, “どのような化学組成が抗酸菌染色で陽性になるのに必要か”ということを尋ねています。この問題に解答できれば, その原理から, 何故白血球が抗酸菌染色で陰性なのか理解できると思います。

 

(琉球大学・山根 誠久)

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