03/05/08
■ 抗酸菌検査について質問, ふたつ
【質問】
 抗酸菌検査で質問があります。
(1) ナイアシン試験は現在でも必要なのでしょうか??? 「結核予防法」と関連づけてお答えください。

(2) もう一つ質問ですが, アキュプローブのMTBが陽性だけで“結核”と診断して届出はできるのですか??? 教えてください。

【質問】
(1) ナイアシン試験について: ナイアシン試験の必要性は現在, あまりないと思われます。理由は;

 1. 検査の手技でも陰性に成りやすい (コロニー数の問題, これが一番の問題)
 2. ナイアシン試験が陽性を示さない株が存在する
 3. 他の抗酸菌でも陽性になる株がある。
 4. 現在ではナイアシン検査が100%ではないとわかってきたから, 結核審査会もあまり重要視しません
 5. 結核予防法の書類にナイアシンの結果を記入する箇所がありますが, 記入しなくても問題にはなりません。(ただし, 同定を遺伝子核酸法で行うことが必要です)

 ただ, 膀胱癌治療でBCGを使用された検体から抗酸菌を分別するには有効かもしれませんが・・・

(2) 遺伝子検査で陽性の場合: 遺伝子検査は補助的診断になる為, 遺伝子検査だけで結核の診断はできません。他の所見と総合的に判断して届出を行います。遺伝子検査だけの届出は保健所の結核審査会でも認めてもらえません。
 日本結核病学会の「予防・治療合同委員会」から以下の勧告文が1995年に出されています。

1. 核酸増幅法 (以下本法) は必ず塗抹・培養検査と並行して行うこと
2. 従来法が陰性で本法が陽性の場合は臨床所見や画像所見を総合して診断する
3. 原則として, 治療経過判定には本法は用いない
4. 気管支鏡などの汚染されやすい器具を使って採取された検体が本法陽性の場合は解釈を慎重に行うこと
5. 検査精度の確保に努めること (当時は手技にバラツキがあった)

(国立都城病院・斉藤 宏)

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