04/04/27
■ 抗酸菌感染症について教えてください
【質問】
 この度はお世話になります。抗酸菌感染症にご教授のほどお願い致します。

(1) ガフキー5号相当の肺結核(bl3)を4剤で治療中の患者の“糞便から結核菌”が検出されました。全身状態が悪く, 消化管内視鏡などの検査は実施できませんが, やはり腸結核などを疑うのが妥当でしょうか。

(2) この1〜2年で, 当施設でM. gordonaeが分離されることが多くなりました。検体採取時の手技で (特に気管支鏡検査時) 気をつける点はありますでしょうか。また, 結果の解釈ですが, 同一患者から複数回検出され, 胸部に異常陰影が認められれば“M. gordonaeの感染症”として問題ないのでしょうか。

 以上につきましてご教授お願い致します。

【回答】
(1) の質問について
 腸結核は, 肺に感染巣を認めない原発性腸結核と肺結核に続発する続発性腸結核に分けられ, 化学療法が出現した後は後者の続発例が著しく減少しました。肺結核と腸結核の合併もあり得ることですから, 疑うべきだと思いますが, 肺結核において下痢, 血便, 腹痛などの腹部症状がない場合は腸結核の合併の頻度は少ないと思われます。

(2) の質問について
 気管支鏡の検査時に, 非結核性抗酸菌の検出頻度が高い場合は, 気管支鏡の内部と洗浄装置内を定期的に検査することが大事だと思われます。非結核性抗酸菌の診断基準が2003年に改正されており, ATS (American Thoracic Society) の診断基準を基本的に踏襲していますが, 肺野の孤立結節例の診断基準を日本独自のものとして定めています。
 

(国立都城病院・齊藤 宏)

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