02/06/14
■ 強酸性水での膀胱洗浄の方法
【質問】 
 看護師です。療養型の医療施設で勤務しています。尿路感染症を併発する方が多く, 一般病院でバルンカテーテル挿入後転院されてくる方がMRSAや緑膿菌といった多剤耐性菌感染による膀胱炎を起こされており, 微熱が続いたり, 食欲の低下があったり等症状としてあります。水分補給, 残尿排泄など試みていますが, なかなか完治はしません。強酸性水での膀胱洗浄が効果的だということを聞きましたが, そこで質問です。 強酸性水は滅菌水でしょうか。この方法は, 今の医療現場において常識的に行われている行為でしょうか。実施するに当たり, 注意点とご家族への説明において伝えなければならない事はなんでしょうか。

【回答】
 ご質問に対して回答しますが, 回答者の私見も含むことをご了承下さい。

1. 強酸性水は滅菌水でしょうか?
 強酸性電解水(strong acidic electrolyzed water, 国内ではこの呼称を推奨しております)は, 水道水の電気分解によって作製され, 次亜塩素酸ナトリウム (ミルトン, ピューラックス) と同等以上の抗菌活性を有し, pH 2.5前後で最大の作用を発現するものです。使用に際しては滅菌せず, そのまま使います。なお, 煮沸して使用することはありませんが, 50℃程度の温浴であれば効果の減弱はありません。

2. 尿路感染症に対する臨床応用について
 強酸性電解水の臨床適用が容認されているのは, 手洗いと内視鏡洗浄のみですが, 数々の臨床応用がなされています。膀胱洗浄の可否については賛否両論がありますが, 熊本大学泌尿器科の吉田らの報告 (第8回機能水シンポジウム, 200, 大阪) では, カテーテル留置患者の尿路感染症に1日1回の洗浄を行い, 有効率66.7%, 菌消失率71.0%と報告しております。大切なことは, 強酸性電解水は蛋白や汚れがあると即座に効力を失うことで, 強酸性電解水のみの洗浄では逆に効果が低下することもありますので工夫が必要です。

3. 家族への説明
現在までの臨床応用で, 副作用は報告されておりませんが, 使用前にご家族にインフォームド・コンセントをとることが好ましいと考えます。

付記:本年 7月27日 (土) 10: 30〜 機能水夏季シンポジウム (熊本大学)
     12月19〜20日        機能水学会 (東京「きゅりあん」)
が開催されます。詳細な情報が必要でしたらご連絡ください。

(NTT東日本関東病院・岡田 淳)

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