03/01/27
■ 小型球形ウイルスの消毒方法について
【質問】
 食品関係の者ですが, “小型球形ウイルスの消毒”には何を使えばいいのでしょうか。また次亜塩素酸を使用するなら, どれくらいの濃度で使用するのでしょうか。

【回答】
 SRSV胃腸炎は一年を通して起こりますが, 集団発生は11月から3月に集中しています。その多くが食品を介した感染です。SRSVによる食中毒の約50%は“生カキ”を食べることによるもので, カキに濃縮されたSRSVをカキと一緒に摂取することで感染します。SRSVによる食中毒の残り約50%はカキ以外の食品で, ケーキ,サンドイッチ,サラダ,握り寿司など, 非加熱食品が原因と考えられています。SRSVが食品中で増殖するとは考えられないため, SRSV食中毒の感染源は“ヒトの糞便”であると考えられています。これらの汚染経路として, 食品従事者からの食品への糞便汚染,調理以前からの汚染あるいは調理に使った水の汚染が考えられます。しかし現在までSRSV感染を防ぐ有効な手段は開発されておらず, カキなどのSRSV汚染を予防するためには下水道や排水の完全処理による環境浄化以外にはありません。しかし市販カキの約30%はすでにSRSVに汚染されているという報告もあり, 不十分な加熱や酢でも感染性を失いません。したがって, 料理前など食品を取扱う場合には, 手をよく洗う, 食品を完全に加熱処理する, ウイルスを含む汚物の処理にも注意する以外SRSV食中毒の予防法, 消毒法はないのが実状です。

(昭和大学・中村 良子)

[戻る]