02/11/06
■レジオネラの培養に必要な機器, 装置
【質問】
 いつも丁寧に教えていただき, ありがとうございます。
 院内感染対策として, 酸素の加湿用の水やネブライザー注入用の注射器など,どのくらいの頻度で変えるべきか, どのような消毒をするべきか検討したいと考えていますが, レジオネラの培養で困っています。検査室は, 培地だけ購入しても駄目で, 特殊な操作がいるから, 検査室ではできないといっていますが, 本をみてもその辺のことは記載がありません。

 レジオネラの培養には, 培地以外にどのような特殊な装置が必要で, いくらくらい費用がかかるのでしょうか??? 小さな病院では無理なのでしょうか???
 よろしくご教示ください。

【回答】
 結論から申しますと, 培養検査のみであれば特殊な装置は必要ありません。しかし, 環境検体 (水) の濃縮操作のために“高速遠心器”(6,000 rpm: 30分間遠心)が必要になります。また検水の前処理方法にもよりますが, 熱処理の場合には100倍濃縮検水1 mlを50℃, 20分間置くための“恒温槽”または“ヒート・ブロック”が必要です。酸処理の場合は装置を必要としません。

 生培地の入手先はBCYEα寒天培地 (栄研化学, BBL), WYOα寒天培地 (栄研化学) があります。粉末培地はレジオネラ属菌用基礎培地, 添加物, 選択サプリメント剤がOxoid (関東化学) から入手できます。選択培地に発育したコロニーがレジオネラ属であれば長波紫外線 (365nm) でL. pneumophilaL. bozemaniiなど7菌種は明るい青白色蛍光を発します。L. erythraL. rubrilucensは暗赤色蛍光を発します。“紫外線ランプ”はヤマト科学から入手できます。簡便で同定に役立つ性状試験に馬尿酸水解試験があります。青白色蛍光を発する株で1%馬尿酸ナトリウム (−20℃保存可能) 陽性であればL. pneumophilaを考えます。菌種の同定方法ではスライド凝集反応用抗血清 (デンカ生研) が市販されており, これらの血清を使用して間接蛍光抗体染色を実施することも可能です。同定方法としてはマイクロプレートを用いたDNA-DNAハイブリダイゼイション法のキットも市販されています。

 以上, 環境からのレジオネラ検査方法を簡単に述べました。培養方法は基本的には臨床材料の処理法と異なりませんし, 高価な器具, 試薬類は特に必要としませんので, 貴院でも検査可能と思います。

(琉球大学・仲宗根 勇)

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