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【質問】
いつも参考にさせていただいています。
直接, 微生物とは関係ないのですが...尿中レジオネラ抗原測定が保険適応になったときいて,
当院でも採用を予定してます。これまで, 感染症学会などで感受性などの発表があったのはBiotestやBionxのEIAを使った検査でした。しかし,
私が調べた限りでは, 現在はELISA法による尿中レジオネラ抗原測定キットしか保険適応にないとのことでした。10数分でできるEIAに比べ,
ELISAですと2時間以上かかるので, EIAのキットが欲しいのですが, FDAで認可がおりているEIA法のキットは日本では評価されていないのでしょうか???
【回答】
尿中レジオネラ抗原検査は,「保医発 第0331001号」により2003年 4月1日から保険適用となりました。この検査は,
他の診断法に比べ, レジオネラ肺炎発症初期から陽性となるため, 早期診断に有効とされています。また,
検体が尿であることから検体採取が容易であり, 検出感度も他法に比べ高いといった特徴をもっています。今回保険適用を受け保険収載
(保険点数: 230点) されたキットは,『レジオネラ抗原「ユカ」』( 製造元: Biotest
AG, Germany, 輸入元: 三菱化学メディカル(株), 発売元: (株)ダイアヤトロン)であり,
ELISA法のキットです。ご質問のEIAですが, ICTすなわちイムノクロマト法 (Binax
NOWTM Legionella Urinary Antigen Test)
の間違いではないかと思います。このキットについては, 現在のところ残念ながら日本で評価された論文はまだ出ていないと思いますが,
10数分で結果を得ることができ, しかも検出感度は前述のELISA法と同等, またはそれ以上の良好な成績を示すことが報告されています
(下段文献参照)。また, 1検体1検体別々に検査できるキットですので, 症例の少ない施設でも個別対応でき,
レジオネラ症の早期診断に役立つものと思われます。早期保険適用を期待したいものです。
参考文献
1) Ed P. F. Yzerman et al. Sensitivity of Three Urinary Antigen Tests
Associated with Clinical Severity in a Large Outbreak of Legionnairesユ
Disease in The Netherlands. J. Clin. Microbiol. 40: 3232〜3236, 2002.
2) Jurgen H. Helbig et al. Detection of Legionella pneumophila
antigen in urine samples by the BinaxNOW immnunochromatographic assay and
comparison with both Binax Legionella Urinary Enzyme Immunoassay (EIA)
and Biotest Legionella Urin Antigen EIA. J. Med. Microbiol. 50:
509〜516, 2001.
(天理よろづ相談所病院・島川 宏一)
【質問者からのお礼】
レジオネラ尿中抗原への質問の回答, ありがとうございました。早くICTすなわちイムノクロマト法のが保険適応して欲しいです。
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