04/03/03
04/03/09
■ リステリアの増菌培地について
【質問】
 乳および乳製品のリステリア検査法について質問させていただきます。よろしくお願いします。

 乳および乳製品のリステリアの検査法については, 衛乳第169号 (平成5年8月2日) に示されており, IDFが提唱する方法に準拠したものとなっています。この検査法のうち, 増菌培地について質問します。

 この通達に示されている増菌培地は「EB培地 (IDF組成)」です。その組成のうち, アクリフラビン塩酸塩の量は15 mg/Lとなっているのですが, これはIDF組成として正しいのでしょうか???。「IDF STANDARD」によれば, アクリフラビン塩酸塩の添加は以下のとおりです: 

Acriflavine HCl 23 mg Water 10 ml (この液をろ過滅菌した後, 1 mlを増菌基礎培地 225 mlに添加する)    

 この処方であれば, アクリフラビン塩酸塩の添加量は約10 mg/Lと思えるのですが。ご教授いただきたく, よろしくお願いします。

【回答】
 私もこの数字の根拠について不明でした。そこで, 厚生労働省監視安全課へ問い合わせました。

 リステリア選択増菌培地 (FDA組成) のアクリフラビン (塩酸塩) 15 mg (食品衛生検査指針 1990, 170頁参照) とIDF (1991) の5.2.1.2 添加剤 (864頁) が混同されてしまったのではないかということでした。また, 食品衛生検査指針の追補_ (1996) 21頁の3行目に15 mgから10 mgに減量した培地が, 乳および乳製品用としてIDFの標準法に採用されていると書かれています。さらに, FDA BACTERIOLOGICAL ANALYTICAL MANUAL 7th EDITION(1992)の472頁にはAcriflavin HCl (for nondairy foods) 15 mg/L, Acriflavin HCl (for milk and dairy foods) 10 mg/Lと書かれています。

 以上のことより, IDF組成としてはAcriflavine HCl 23 mgをWater 10 mlに溶解して, ろ過滅菌した後, その1 mlを増菌基礎培地 225 mlに添加する方法 (アクリフラビン塩酸塩の添加量は約10 mg/L) が正しいのではないでしょうか。

(日水製薬・小高 秀正)

【質問者からのお礼】
 ご回答いただき, ありがとうございます。IDF法に準拠であれば, アクリフラビンの量は「10 mg」であり, 衛乳第169号に記載の「15 mg」は混同によるものということで認識いたします。
 自社で使用している増菌培地はDifco社の粉末培地で, 選択剤があらかじめ添加されているものです。この培地のアクリフラビンの量は15 mgで, FDA処方の組成です。ですが, 衛乳第169号が「15 mg」であったため, 乳製品に適用可能と判断して使用してきました。しかし, ご回答いただいた内容によれば, 衛乳第169号のアクリフラビンの量は正式には10 mgということですので, このDifco社のは乳製品の検査に適用できないことになります。これからIDF処方のものに変更していきますが, IDF処方のものは選択剤が別途添加 (500 mlにつきサプリメント1本) のため使い勝手が非常に悪く, 頭の痛いところです。ですが, 乳製品にはIDF処方ということですので, 何とか対応していきたいと思います。 

 このたびは厚生労働省に問い合わせいただくなど, 詳細なる調査のうえで回答いただき, ありがとうございます。回答いただきました皆様に深くお礼申し上げます。回答いただきました内容や, ホームページにありますこれまでの回答を活用し, 食品衛生の向上を目指していきたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。


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