02/07/05
■「滅菌消毒薬瓶の口切り」の必要性について
【質問】
 創部を消毒する消毒綿球を作る際に行なう「滅菌消毒薬瓶の口切り」の必要性についてアドバイスをいただければと思います。
 昨今, 1回分でパッキングされた消毒綿球が普及しつつありますが, まだまだ病棟など, 施設内で滅菌綿球, 滅菌された各種蓋つき容器を使ってヒビテン綿球などを作っているところも少なくないと思います。この場合, 容器に消毒薬を注ぎいれるときに瓶の口を内部の消毒薬で洗浄 (???) することがあります。この方法は本当に意味があるのか, データ, 論文などがあればお聞きしたいと思いました。一説によるとアルコールを含んだ消毒薬 (例えばヒビテン・アルコール) は必要ないとか, イソジンは必要ないとか言われ, どうやら消毒薬液の違いによっても要・不要が言われています。この口きり行為にともなう液だれによる問題や経済性を検討するためにも, 情報がありましたら教えてください。
(看護系職員で, 日常的な行為を見直したいと考えている者です)

【回答】
 消毒綿作製時には, 下記の基本を厳守して下さい。
(1) 消毒薬は, 基本的に毎日新しい消毒済みの瓶を用いて調整する。長く使用する場合でも2〜3日以内とする。(2〜3日以内で使い終わる量を作製する)
(2) 消毒綿の採取にはセッシを用いる。(手づかみはしない!!!)
 セッシの置き方は, 蓋のツマミに針金を“8の字”に巻き, 片方の円にセッシをひっかけて置くと, テーブルに触れずに清潔です。
(3) アルコール系の消毒剤の蓋の開閉時間は最低限にする。採血場などで半日以上開放した消毒瓶は, アルコール濃度が低下しているので新しい消毒瓶にかえる。
(4) 新たな消毒瓶に消毒液を注ぐ場合は, 消毒液のキャップを取る前に容器の周囲を消毒用アルコール綿で清拭した後に“口切りをしないで”注いで下さい。・・このようにしますと口切りは不要です。
[追加情報]
パックされた消毒綿は一見経済性が悪く思えますが, そうではありません。理由は, 通常の診療では無意識に大量に酒精綿やイソジン綿球を使用し, 残りを廃棄しているからです。一方, パックされていると1個1個無駄なく使用し, 残りも再度使用しますから, コストとしては同額か, より安価となります。ただし, 現在市販されている消毒パックの多くは, 一度開封しますと再度密閉できませんので, 密閉できるタイプの商品を選んで1〜2の診療科でパイロット・スタディを実施し, 総合的に評価してみて下さい。

(大阪大学・浅利誠志)

[戻る]