01/11/02
■ メタロ-β-ラクタマーゼ産生の判定は???
【質問】
 メタロ-β-ラクタマーゼについてご質問します。日常よくStenotrophomonas maltophilia が分離されますが, KBディスク法でCAZが“S”, CPZも“S”, IPMのみが“R”でした。SMA (栄研化学) による確認試験でIPMに5 mm以上の阻止帯ができました。この場合は, メタロ-βラクタマーゼ産性株と言えるのでしょうか??? もしそうであれば, CAZ, CPZの判定は“R”とすべきなんでしょうか??? よろしくお願いします。

【回答】
 Stenotrophomonas maltophilia は染色体上にメタロ-β-ラクタマーゼ産生遺伝子L-1を持っています。したがってSMA (メルカプト酢酸ナトリウム) による確認試験では陽性と判定されますが, 染色体上にすべての株が保有していると思われますので, セラチアや緑膿菌のように特別メタロ-β-ラクタマーゼ産生株とする必要はないと考えます。
 S. maltophilia の薬剤感受性での特徴はCAZよりIPMの方が耐性が強いということです。臨床分離株の中には, IPMで“R”, CAZで“S”という株が存在しますが, これはメタロ-β-ラクタマーゼの産生量が少ないことが推察され, 耐性と考えた方が良いと思われます。現在のところS. maltophilia に対する判定基準がありませんので, IPMが耐性の場合はCAZなども耐性と考えます。

(愛媛大学・村瀬 光春)

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