■MGITでのスプータザイムの使用とPL法について
【質問】先日の大阪での研究会で, 山根先生がBMLの霜島氏に, 「MGITにスプータザイムを使用しているのは, PL法に觝触するのでは???」といった内容の質問をされていましたが, その意味をもう少し詳しく教えて下さい。

【回答】
PL法はProduct Liability, 製造責任を規定した法律です。メーカーが製造した製品によってユーザーに不利益が発生した場合, メーカーはその製品を製造, 販売した責任が問われます。しかし, もしユーザーがメーカーの示した製品の使用方法に違反して使用した結果として不利益を被った場合には, その責任はユーザーにあります。私達が日頃使っている診断薬試薬にもPL法が適用されると考えられます。その意味で, メーカーは, 自らの責任の範囲を明確にする目的で, 使用方法とその限界を製品の添付文章に記載しています。煙草の箱にも“健康を損なうおそれがある”と記載しています。MGITの使用説明書を読むと, 2倍量以上のNALC-NaOHを用いて喀痰を処理するように記載しており, 喀痰融解剤 (おそらくスプータザイムを意味する) の使用を認めていません。研究会で“スプータザイムをMGITの喀痰処理に用いている”とユーザーが発表したことは, スプータザイムはユーザーの独自の判断で使用しており, “もし将来的にユーザーあるいは患者が不利益を被ったとしても検査現場がすべての責任を負う”ということを公表したことになります。これはユーザーがメーカーに免責を与えたことを意味し, 本当なの???と質問した訳です。

(琉球大学・山根 誠久)

[戻る]