00/11/28
■マイコプラズマ抗原の迅速検査
【質問】
 マイコプラズマ肺炎の診断について質問します。現在当検査科では, 間接凝集法で4時間判定のマイコプラズマ抗体検査を実施しています。その抗体検査をラテックス法で2分という試薬のカタログを目にしたので, 小児科の先生に話しましたところ, いくら2分でも抗体は立ち上がりが遅いから, 抗原を捕まえてくれたら助かるけど・・・との返事でした。レントゲンで陰影がはっきりわかる時は既に抗体があがっているときだから, 初期に悩むころに抗原でわかると薬が決められるからとも言っておりました。マイコプラズ抗原を, 一般病院の検査室で検査できるような試薬はあるのでしょうか。よろしくお願いいたします。

【回答】
 マイコプラズマの迅速簡易抗原検出キットは, 現在のところ日本で入手可能なものはありません。ヨーロッパでは, イムノクロマト法によるマイコプラズマの迅速簡易抗原検出キットが市販されているようですが, 日本では未だ市販されていません。我々は酵素免疫測定法によるPNEUMOFAST Ag (International Microbio, Signes, France) について検討する機会を得ました。その結果, 所要時間は約20分と短時間で検出可能でしたが, 感度, 再現性に問題があると考えられました。

 一方, マイコプラズマ抗体の簡易迅速キットについては, イムノカードマイコプラズマ抗体 (IC, テイエフビー)も市販されています。このキットは, メンブランにマイコプラズマの菌体成分を捕捉抗原として固相化した酵素免疫測定法を用いています。我々の45症例 (n = 104) についての検討成績は, HDPA法 (350倍以上) と比較し, 感度 (有症正診率) 94.3%, 特異度 (無症正診率) 87.5%, 一致率 92.2%でした。本キットは, 感度よくIgMを検出し, 一般検査室でのルーチン化可能な検査法ですが, 抗体上昇に数日かかることや, 乳幼児や成人でも稀に特異抗体の上昇しない例があることなどから, 分単位で, 感度よく, マイコプラズマ抗原を簡便に検出可能な迅速キットの市販が望まれます。

(昭和大学・中村 良子)

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