04/03/29
04/03/30
細菌検査室の模様替え
【質問】
 宜しくお願いします。

 細菌検査室は換気用の窓があり, 他部門とドアで仕切りが必要ですが。例えば血液培養の器械を細菌室以外の場所に設置した場合は感染防止や機能評価の審査で問題になるのでしょうか。今や検査部も24時間対応しているところが多いと思います。それで当直者が, 菌が生えた時のセンサーの感知音や血液培養の検体が来れば器械に入れやすいように細菌室の部屋から出してはと思っています。移動させる検討場所は細菌室のドアを開けた外のすぐの机の上です。

【回答】
 早速にお答え申し上げます。基本的には, 管理区域外への細菌培養装置の設置は止むを得ない特殊な場合とお考えになった方が良いかと思います。時間外などの運用での利便性をお考えのようですが, そのために日常業務の利便性・合理性を犠牲にするのは, 本末転倒といわざるを得ないのではないでしょうか。また, 製造メーカー側でも, 設置の条件として, 感染防止策の整った管理区域内への設置を推奨しているのではないでしょうか。なお, 昨今では, ICUや夜間休日用に特化した使用を前提とした分散設置用の卓上サイズの血液培養装置も普及しつつあると思いますので, 検体件数によっては検討してもよいでしょう。

 ところで, 「病院機能評価機構」の審査で問題になるのかというご質問ですが, これは、[4.5.1.4 施設・設備・機器の安全に配慮されている]という項目に関連してくると思います。検査室そのものが限定された管理区域内でありますが, 「病原菌」を「増やして」検出する培養装置の設置場所によっては「安全に配慮している」姿勢に疑問符が打たれないとも限りません。やむを得ず, 適切さに欠けると印象を与えるような場所に設置する必要がある場合には, 異常時 (内部でのボトルの破損や培養液の漏出など) の対処法が一目で分かるような掲示や迅速に誰でも短時間に対応可能なマニュアル, さらに, 直ちに立ち入りや接触を遮断する処置をとるためのポールやロープなどの準備も必要になるでしょう。そこまでやらなければいけないのかと思われるかもしれませんが, 機能評価の審査はどの部分を深く追及されるのか, あるいは何も聞かれることはないかはその時になってみないとまったく判らないものなのです。ただ機能評価機構の審査を通さんがための対策はそれこそ本末転倒ですので, やはり実情をよく検討した上でご判断されてはいかがでしょうか。

 なお繰り返しになりますが, 細菌を培養する装置は, 細菌を取り扱う部門 (細菌検査室) にあってこそ有効に機能するものだと思います。

(信州大学・川上 由行)


【質問者からのお礼】
 早速のご指導有り難うございます。やはり言われるとおり, 管理区外ということで血液培養の器械は細菌検査室内に設置することにしました。細菌検査室も自動化の器機が開発され, つい安易に考えてしまいそうでしたが, 「安全性」について再認識いたしました。本当に有り難うございました。今後ともご指導宜しくお願いします。


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