2002/01/24
■ MRSA保菌者の介護と手袋の使用
【質問】
 訪問看護ステーションに勤務している看護婦です。これまでMRSAの保菌者に対してガウンテクニックなどで対応してきていました。MRSAの保菌者の家族が在宅での療養を受け入れられないことより, 患者さんの家族に対する指導, 私達のマニュアルの見直しのために再度MRSAについて勉強しなおしています。
多くの資料は“介助者に傷口がある場合は手袋を必ず使用すること”とありますが, 病棟などの現場ではそれさえも必要がないという意見もあります。傷口があるときの手袋使用の意味はどういうことなのでしょうか。教えて下さい。宜しくお願い致します。

【回答】
 感染症患者の処置時に際しては, 介助者の傷の有無に関らず手袋を着用し, その後手洗いをするのが原則です。この概念は, 現在CDC (米国疾病管理予防センター) が推奨している標準予防対策 (スタンダードプリコーション) の基本でもあり,「患者の汗以外の体液成分は感染源として扱う」というものです。
 ご質問では明らかに介助者に傷があるのですから, 患者からのMRSA, HBV, HCV, HIVなどの接触による2次感染を防止するために手袋の着用は必須です。さらに, 介助者の傷口に伝播されたMRSAは手洗いによっても除去されにくいため, 他の方へも伝播させてしまいます。この2次感染を防止する目的に手袋を着用します。

(大阪大学・浅利誠志)

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