02/03/06
■ MRSA の院内感染の解析手法
【質問】
 院内でMRSAが発生した場合, 院内感染なのか, PFGE解析が大きな病院では行われますが, 県内に一台しかなく, 当然本院ではできません。MINOなどの感受性を見ると2峰性で, このような薬剤に対する感受性で院内伝播なのか判定しようと考えていますが, 同一人物から分離されたMRSAですらころころ変わるので困っています。薬剤感受性で院内伝播かどうか見るのは無理なのでしょうか? また, 使っていないPCR装置があるのでAP-PCRをしようかと検討しましたが, 制限酵素がたくさんないと分離は無理だし, 再現性がないので駄目だろうと検査室の技師長はいっています。PCRで多様性を持つ遺伝子をピック・アップし, SSCPにかけるとか, PCRで院内感染かどうか判定することはできないでしょうか?

【回答】
 院内感染における原因菌の解析には種々な方法が用いられています。代表的なのがDNA分離技術を応用したPFGE法です。ご質問のように薬剤感受性で同一の菌と確定するには困難であります。私たちの経験においても同一薬剤感受性パターンを示すMRSAをPFGE法で確認するとまったく異なったDNAパターンでありました。したがって薬剤感受性パターンのみからは推定は困難でした。またAP-PCR法やSSCP法はDNA変異部位の検索には有効な方法ですが, 菌の同一性を証明する方法ではないと思われます。PFGE法の実施が困難な場合は, コアグラーゼ型別やエンテロトキシン型別, TSST-1などが疫学マーカーとして用いられています。

(愛媛大学・村瀬 光春)

[戻る]