02/06/28
■ 肝炎ウイルスやMRSA保菌者に使用した歯科器具の滅菌方法
【質問】
 こんにちは。歯科医院に勤務する歯科助手です。HBV, HCV, MRSAなどのキャリアの患者さんに使用した器具の滅菌方法について教えて下さい。
プラスチックなど, オートクレーブに入れることができないものについてです。当歯科医院では, 水洗後一時間グルタラール製剤に浸しています。グルタラール製剤はジョンソン&ジョンソン社のサイデックスプラス28を使用しています。この商品は緩衝材混合後, 通常の使用では28日間効力があるということなのですが, スタッフの中には実際28日も使用できるものなのかと疑問視しているも人おり, 現在では一回使用ごとに廃棄しています。メーカーに問い合わせたところ, 一回使用後とに廃棄する必要はないとのことなのです。一回ごとに廃棄するのは理想ですが, コストもかかるので, 安全性が確保できるとすればもう少し使用したいのです。もしくは一回ごとの廃棄を前提として, もっと安い製剤にかえたほうがよいのでしょうか。アドバイスを頂けたらと思います。宜しくお願い致します。

【回答】
 消毒して再使用できる物品は努めて再使用しましょう。限りある資源です。ただし, 下記のような点に留意して下さい。全微生物を対象とする消毒剤としては, ステリハイドまたは過酢酸 (アセサイド: サラヤ株) が適切です。刺激性が低いという点と消毒効果から判断しますとアセサイドが使用しやすいと思います。・・どちらでも構いません。
[方法・注意]
1. 使用後の器具は直ちに0.1%両性界面活性剤に浸漬する。
 目的: 血液, 唾液成分の器具への固着を防ぎ, 次のアセサイドまたはステリハイドの消毒効果を高める。ただし両性界面活性剤は, 一般細菌は殺菌するがウイルスには無効 (処置台の傍にベースンをおいておき午前, 午後で新しい消毒液と交換する。ただし使用量が多い場合は交換頻度を高める!)。

2. 1時間以上浸漬した後にグローブを着用し, ガーゼまたはスポンジなどで付着物を除去しながら十分に水洗し, 水をきった後にアセサイドまたはステリハイドに1時間以上浸漬する。この際, プラスチックが浮く場合はステンレス製の落し蓋を用いる。(粘膜刺激性が強いので, ステリハイドを設置する場所は, 強制換気の可能な部屋におき, 蓋付きの浸漬容器を使用する)

3. 1時間以上浸漬後, ガーゼまたはスポンジなどで付着物を除去しながら十分に水洗した後, 80%消毒用エタノールに10分間浸漬・乾燥させた後, 清潔な場所に保管し, 再使用する。

4. 消毒剤交換の目安
 アセサイドまたはステリハイドを何日間使用できるか否かは, 浸漬量により異なります。両薬剤共に検出試験紙がついていますので所定の濃度を維持して使用してください。1回毎に廃棄する必要はありませんが, 浮遊物が多くなりますので濃度が維持されていても1ヶ月を目安に廃棄して下さい。


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