■ MRSA の院内感染ですか??? 家族はどう対応したら良いですか??? | |
【質問】
家族が膀胱癌の手術を受け, その後腸閉塞を起こして2回腸の手術を受けました。その後の経過があまりよくなく, 傷の治りが遅いのは感染症のせいだと言われました。MRSAが検出されたのですが, 説明を受けた際, まず「保菌者だった可能性がある」と言われました。またMRSAそのものは誰もが持っている可能性があり, 健康なときはなんともないことを強調されました。その後, 「3回も手術をしているのだから, 感染するのはこのご時世では仕方がないことだ」とも言われました。まったくの素人ゆえ, ごまかされている気がしてなりません。これは明らかに病院側に責任があるのではないでしょうか。また, 家族としてそれを追求すべきなのかどうか, 迷っています。また, 入院しているのは個室ではありますが, 除菌対策がされているわけでもなく, 何の指導も受けていません。私自身は毎日のように病室を訪れ, 患者の衣服の洗濯はもちろんのこと, 痰を取ったりもしています。精神状態が不安定なので夜も付き添うことにしましたが, 無防備な状態で大丈夫でしょうか。現在, 素人考えで勝手にエタノールで室内を掃除しています。 こういうことがあってから, このホームページ等で知識を仕入れているものの, なにぶん断片的になっています。再度, 医師にきちんと説明を求めようと思うのですが, その際のポイントを教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。 【回答】
(1) 膀胱癌の予後は, 癌の拡がりの程度によって異なります。進行癌では, 拡大手術が行われ, 場合によっては, 術後の癒着のため腸閉塞が生ずることもあります。 (2) 傷の治りが遅いのは感染症のせいであるとのことですが。もちろん感染症も原因となりますが, これ以外にも, 加齢による影響があり, 高齢者では遅れます。また栄養状態が悪いと, 局所の組織修復が悪くなります。恐らく, たび重なる手術で, 癒着や局所の循環障害などさまざまな要因が, 傷の治りに関係していると考えます。 (3) MRSAが検出されたとありますが, 傷口からのものであれば, 保菌状態か, 感染状態かを区別する必要があります。感染であれば治療が必要ですが, 保菌状態であれば, 傷がなくなればMRSAは検出されなくなります。 (4) 精神状態が不安定になっているとのこと。入院生活が長くなるとほとんどのヒトは不安定状態になりますので, ラジオを聞いたり, 新聞を読んだり, テープ (音楽, 落語) などを聞き, 患者さんが気分転換を図れるように努めて下さい。 (5) 健康なヒトはMRSAには無防備でも大丈夫ですので, それほど神経質になることはありません。 (6) 患者さんの栄養状態や精神状態の回復に努めてください。 (7) また, 貴女自身が, 明るく, 自信をもって行動することが, 患者を勇気づけることになるでしょう。 (近畿大学・古田 格)
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