■ 幼児の咽頭にMRSAが常在化したようです。 | |
【質問】
突然メールにて質問をさせていただきます。 1歳4ヶ月の息子を持つ母親です。息子は尿路系に先天的な疾患があり, 手術をうける予定です。ところが, 去年8月には便からMRSAが検出されました。その後, 月2回, 咽頭, 尿, 便の培養検査をしながら様子をみてきましたが, 常在菌化してしまったのか, なかなか消えません。本人はいたって元気なのですが, 菌があっては手術ができません。最近, 尿や便からでることはなくなりましたが, 必ず咽頭から+1もしくは+2で検出されます。月1回で, 今まで3回ほど“バクトロバン鼻くう用軟膏”を試してみましたが, だめでした。そこで, ご質問ですが; (1) “バクトロバン軟膏”は効果が出るまで使っても大丈夫でしょうか。 (2) 咽頭にいるということは, 菌が体の中に流れていって, いつでも尿や便から検出される可能性があるのでしょうか。 (3) 保菌したまま入院し, 術前に点滴で除菌して, 手術に臨むことはできるのでしょうか。その時の危険性はどのくらいでしょうか。 毎日不安な日々を送っています。どうぞよろしくお願いします。 【回答】
健康なヒトでは口腔, 腸管や皮膚などには常在菌 (ヒトの健康保持に重要) がおり, これら常在菌は侵入してくるMRSAを排除する働きをします。このため, MRSAを追い出すには常在菌の力を借りる必要があります。たとえ, バクトロバンで除菌しても, 常在菌がいなかったり, 働きが弱かったら, 競争相手 (常在菌) がいないため, 容易にMRSAは再々侵入してきます。息子さんは1歳4カ月で, 常在菌の働きはまだ弱いですが, 成長と共につよくなっていきます。重要なことは, 抗菌剤の使用は常在菌に大きなダメ−ジを与えることになるので, 抗菌剤の使用は短期間に留めるべきです。もし, バクトロバンを使用するとしたら, 月1回程度ではだめです。除菌は徹底し, 毎日1~2回, 1週間連続して使用して下さい。しかし, バクトロバンも長期に使用すると, MRSAは耐性を獲得します。 (近畿大学・古田 格)
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