03/06/03
■ 職員のMRSA鼻腔培養検査の必要性
【質問】
 細菌検査室担当検査技師です。 院内のMRSA委員会のマニュアルに「MRSA患者が続いて出た場合, 看護師長の指導のもとにスタッフの鼻腔検査を行う」とあります。今まで実際に行ってきました。陽性のスタッフは耳鼻科にかかり軟膏をもらっています。陰性化するまでマスクをして勤務しています。これは必要なことなのかと考えるようになりました。じゃあ, 何人の陽性患者が出たらスタッフの検査をするのかとも考えます (実際聞かれました)。あくまでもスタンダードプリコーションの徹底が大切と思うのですが。同時に環境検査も一緒に出ることもあります。これも必要でしょうか???アドバイスお願いします。

【回答】
 「MRSA患者が続いて出た場合, スタッフの鼻腔検査を行う」ことは原因調査を行う上で必要です。MRSA感染は, MRSA患者やMRSA保菌者を介して起こりますので, 感染の発生状況を調査するために医療従事者の鼻腔検査が行なわれることもあります。事実, 新生児室などでは医療従事者の鼻腔検査は必要です。MRSA保菌者は感染源ともなりますので, 院内感染対策のためには除菌やマスクをしなければなりません。

 「何人患者が出たらスタッフの検査をするのか」に関しては, 特定の決まりことはありません。あくまでも“case by case”で, 感染ル−トを解明する場合にはスタッフの検査を行うことがあります。これは, 現場のおける感染対策責任者の判断によるものです。現在, 多くの医療施設ではMRSAの環境汚染が進んでいるので, 定期的な環境調査は必要であり, 無意味とはいえません。文面からは, 貴院では積極的に院内感染対策が行われているようです。MRSA感染を減少されるためには皆さんの協力が必要です。

(近畿大学・古田 格)

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