03/11/12
■ MRSAの方を介護するに当たって
【質問】
 先日鼻腔からMRSAが検出された方が施設に入居されました。私はあまり知識がないため, ガウンテクニックなどを行わず, ベッドへの移譲を行いました。後でイソジン液で喉と鼻の消毒を行いました。尿のバルン・カテーテルを使用しているため, マスクと手袋をつけてバルーン内にある尿の尿測なども行いました。第一の質問は, (1) 感染の心配はあるのでしょうか???

 また介護の際に身につけていた服を通常通り洗濯しましたが, 外泊の都合があったため, お日様に当てることなく, そのまま部屋に3日間ほど干したままになっています。(2) お日様に当てなければ菌は死なないのでしょうか??? また密室になっているため, MRSAの菌が部屋に蔓延している可能性はあるのでしょうか???

 私は元々目に“ものもらい”ができやすいのですが, MRSAの方の介護をした次の日から外泊しており, その日に“ものもらい”ができてしまいました。現在市販の“ものもらい”用の目薬を購入し, 少し腫れがひいています。MRSAを目に保菌した場合, 黄色い眼脂が出てくるというのを他の質問で見受けました。(3) 私の場合, この“ものもらい”はMRSAの感染を疑うべきでしょうか??? 眼科に診察に行く必要はあるでしょうか??? 教えてください。

【回答】
(1) 感染の心配はあるでしょうか。

 健常者においてはMRSAの感染を心配する必要はありません。患者さんの鼻腔からMRSAが検出されているようですので, 鼻腔分泌物や喀痰にはMRSAが含まれていますので, 取り扱いには注意して下さい。そのため, これらを採り汚染されたちり紙はプラスチックの袋に入れ, 毎日, 取り替え, 焼却をしてください。また, 介助により手指が汚染されるので, 介助後には, その都度手洗いを励行して下さい。さらに, イソジンゲルやイソジン液で鼻腔や喉の消毒を行ない除菌に努めて下さい。こつは, 丁寧に, 根気よく, 繰り返し行うことです。

(2) に対する返答

 室内での乾燥では, 消毒はやはり不十分です。気密になっているため, MRSAが部屋に蔓延することはありません。日光下での乾燥が出来ない場合は, 80度以上の熱湯に汚染された衣類を5分間浸けて下さい。細菌は高温に弱く, 熱消毒が可能です。MRSAが増殖するためには適度な湿度, 温度や栄養源などが必要です。

(3) ものもらいとMRSA

 これは関係があります。当然, 傷ついた眼瞼にMRSAが付着すれば感染が生じます。多くは, 汚れた手指で無意識に局所に触ることから感染が起こります。 細菌による眼瞼部の感染には麦粒腫があり, これは急性化膿性炎症です。貴方の場合は霰粒腫 (さんりゅうしゅ) とも考えられます。霰粒腫は慢性肉芽腫であり, 感染症とは異なります。“ものもらい”というのは俗称であり, 正式な病名ではありません。感染が見られたら, 受診し, 眼科の先生に病名を教えてもらいましょう。

(近畿大学・古田 格)

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