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【質問】
はじめまして。私は検査センターで微生物検査に携わっています。
先生方への質問ですが, 私は現在, 黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンタイピング検査とコアグラーゼタイピング検査を研修しており,
結果のほとんどがコアグラーゼII型, エンテロトキシン C型となっています。いろいろ調べて,
この型が多いということはわかりました。
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研修する前は, この型別により院内感染の指標になると思っていたのですが, 間違っていたのでしょうか???
この検査を実施する意味がよくわからなくなっています。
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また, 黄色ブドウ球菌であるなら, 必ずエンテロトキシンをもっているのでしょうか???
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また, 現在, いくつの型が判明しているのでしょうか???
忙しい中, 申し訳ございませんが, 以上3点についてお教え下さい。
【回答】
院内感染の指標となるものには, コアグラーゼ型やエンテロトキシン血清型,
TSST1の産生試験, パルスフィールド電気泳動を用いた分子疫学的分類, 生化学的性状を利用した生物型など,
いろいろな方法があります。種々の組み合わせを実施し, すべての検査が同一の成績であれば,
同じ起源の菌株であることを推測します。そして感染経路の特定のマーカーとしています。したがって1つの方法の成績では,
否定するための証拠にはなりますが, 同一であるための絶対的な証拠にはなり得ないことを理解して実施する必要があります。
エンテロトキシン血清型はA, B, C, D, E, G, Hの7型が知られていますが,
デンカ生研の試薬ではA, B, C, Dの4種類のみがあります。すべての型に陰性の株も存在しますし,
BC型やAC型といった複数型の株も存在しています。そのため多数の型が存在していることが推察されます。
(愛媛大学・村上 忍)
【質問者からのお礼】
忙しい中, 回答していただき, ありがとうございました。大変参考になりました。また,
わからないことがあればよろしくお願いします。
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