04/05/31
■ MRSAを取り扱っていますが・・・
【質問】
 短期大学に勤務しながらMRSAをテーマとして取り上げている者です。ご教授願えればと思い質問させて頂きます。

 鼻腔中からMRSAスクリーニング培地 (培地と採取綿棒が一体になっているもの) を用いて採取して, さらに卵黄添加マンニット食塩培地に画線しました。スクリーニング培地で断定しにくいものもありますので, 一応すべて卵黄添加マンニット食塩培地に接種しました。そこで“培地は黄変するものの, コロニーは卵黄反応陰性”である・・・このような現象にぶつかりました。培地が黄変し, 卵黄反応陽性のコロニーはMRSA であると確認しましたが・・・鼻腔中に常在菌 (常在菌だと思いますが) として存在し, かつブドウ球菌の選択培地に増殖できる菌にはどのようなものが考えられるでしょうか???

 以上, よろしくお願いいたします。

【回答】
 使用されたMRSAスクリーニング培地の成分がはっきりしませんが, おそらく食塩とオキサシリンを添加した培地だと思われます。発育してきた菌株の中には, マンニット陽性で卵黄反応陽性のStaphylococcus aureus (MRSA) もありますが, オキサシリンに耐性のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (coagulase-negative staphylococci: CNS) も含まれます。CNSは鼻腔内の常在菌であり, 卵黄反応陰性でマンニット陽性を示す菌種としてはS. capitis, S. simulans, S. carnosusなどがあります。

(愛媛大学・村上 忍)

[戻る]