|
【質問】
身内の相談で申し訳ありません。現在, 84歳の義母の自宅介護をしています。重度の身体障害者認定を受けており寝たきりの状態です。体を動かす事も,
食事をかむ事すら忘れがちです。発熱し, 病院に一時入院しましたが, 退院目前にMRSA感染という聞きなれぬ言葉を耳にしました。自宅に連れ帰っての介護は可能なのでしょうか?乳幼児と接する機会もあるのですが,
隔離したりする必要はあるのでしょうか?
【回答】
退院時に聞きなれないMRSAという言葉を聞かされご不安のことと思います。可能な限り平易にMRSAについてご説明いたしますが,
ご理解にも限界があると推察いたします。本来は, 退院時に主治医から「退院後の在宅ケアー」について詳細に説明されるべきことでありますので,
患者の権利として納得のいく説明を必要に応じて主治医に要望されてはいかがでしょうか?
1. 自宅に連れ帰っての介護は可能なのでしょうか?
自宅介護は可能です。ただし, 症状の変化に注意しながら経過を観察する必要があります。この注意の必要な症状とは
・咳が出だした。
・痰の量が増えた。痰の色が黄色くなり粘っこくなった。
・発熱しだした。または発熱が継続する。
このような症状が出だしたら早めに医師に連絡しましょう。
2. 乳幼児と接触について
3歳未満の乳幼児につきましては, お婆ちゃんの手に触れたり, 声をかけてあげるようなことは問題ありませんが,
濃厚な接触は控えたほうがいいでしょう。特に, 激しい咳をしている場合は, 入室も控えて下さい。
3. 隔離したりする必要はあるのでしょうか?
隔離の必要はありませんが, 咳をしている場合は個室に置かれることをお奨めします。介護の方もマスクを着用し介護の後には,
石鹸にて手をよく洗いましょう。咳をしていない, またはほんの軽い咳の場合はマスクも不要です。
追記:
MRSAとは?
MRSAとはMethicillin-resistant Staphylococcus aureus の略号で, 日本語ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌と呼ばれます。
一般的な表現で言うと, MRSAとは「黄色ブドウ球菌の中 で各種の抗菌剤に対し効かなくなった菌」を意味します。
この黄色ブドウ球菌は, 一般の方も30%位鼻やのどに保菌 しており通常, 問題はありませんので御安心下さい。
手術後の患者さんや衰弱した御老人が保菌した場合に時折, 術後感染症や肺炎を起こしたりしますが,
注意して観察をし, 変化に気づいた時に医師に連絡し正しい対応を取れば大丈夫です。
(大阪大学・浅利誠志)
|