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【質問】
こんにちわ。私は眼科の勤務医です。今度, MRSAとMRSEのことで発表したいと思うのですが,
MRSAの定義はメチシリンに感受性をしめさない黄色ブドウ球菌ということで, どの文献でも一致しているのですが,
MRSEの定義については文献でまちまちのように思います。メチシリンに耐性がある表皮ブドウ球菌だけだたり,
ペニシリンGとセフェムに耐性のある表皮ブドウ球菌であったりです。まだ定義がはっきりとはしてないのでしょうか?教えていただけますか?
【回答】
Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) の判定には耐性因子であるpenicillin-binding
protein (PBP2’) の検出やPBP2’産生遺伝子であるmecAを検出する方法があります。しかし,
これらは一般的ではないことから日常検査では, 2%NaCl添加Mueller-Hinton agar使用によるディスク法,
または2%NaCl添加cation-adjusted Mueller-Hinton broth使用による微量液体希釈法で判定しており,
ディスク法ではoxacillin (MPIPC) ≦9mm, methicillin (DMPPC) ≦10 mmを,
また微量液体希釈法ではoxacillin (MPIPC) ≧4μg/ml, methicillin (DMPPC)
≧16μg/mlをMRSAとしています。これらの基準はNational Committee for Clinical Laboratory Standards
(NCCLS) に準拠しておりますが, NCCLS M7-A5 (2000) ではmethicillin-resistant
のcoagulase negative staphylococci (CNS) の判定基準を変更しました。これによりますと検査使用薬剤をMPIPCに限定し,
ディスク法では≦17 mmを, また微量液体希釈法では≧0.5μg/mlをMR-CNSとしております。ゆえに,
メチシリン耐性表皮ブドウ球菌methicillin-resistant Staphylococcus epidermidis
(MRSE) もMR-CNSの1菌種であることから同様の判定基準で良いことになります。なおこれまで,
MRSAと同様, MR-CNSと判断された場合には全β-ラクタム薬を耐性と報告していましたが,
MR-CNSに限り, なかにはcefamandole,cefotiam,cephalothinなどに低いMICを示す株や,
治療効果が得られる例もみられ, 一概に全β-ラクタム薬を耐性といいきれないのも現状です。
(大手前病院 山中喜代治)
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